中央区の水域の面積は区全体の18.3%と水域割合は都内随一。
舟運の衰退や、戦後復興・高度成長期の都市機能の整備、治水上、所謂 "カミソリ堤防" の建設等々により、人々を水辺から遠ざけた時期もあったが、近年水辺の持つ自然環境や親水空間としての機能が改めて見直され、緩傾斜型堤防・親水テラスの整備など、水辺空間の再生も手掛けられつつある。
一方昔はシラウオが棲み、水遊びを楽しんだとされる隅田川に代表される河川も、産業活動の急速な発展による工業排水や都市化の進行による生活排水の増加により一時期著しく水質汚濁が進んだが、その後種々の浄化対策が実施されたことにより、徐々にではあるが改善が見られ、平成に変わる頃から魚の姿も見られるようになってきたと云われている。
現在、区内を流れる隅田川の下流域では、ハゼやボラ、セイゴなどの汽水魚が棲息するまで水質が改善されたとされるが、更なる浄化対策と、引き続き水質状況の把握が望まれる。
初冬の穏やかな日曜日、佃・月島周辺域の隅田川河岸では、やわらかな日差しのもと、釣り糸を垂れる人の姿を結構目にする。
目を川面に転じると、ハゼの "練り釣り" (釣り場に着くと船頭がを櫓を漕いで船を流す)の「櫓で漕ぐ和船 "練り船" 」が漂っている。
江戸前の粋な舟遊びを彷彿とさせる風情ある一コマである。