<ロウバイ> <ソシンロウバイ>
厳寒の浜離宮恩賜庭園。冬枯れの花木園の一角に凛として咲く「蝋梅(ロウバイ)」の静謐で穏やかな芳香が漂っている。
ロウバイは中国原産の落葉低木。
名前に梅(バラ科サクラ属)がつくが、ロウバイ科ロウバイ属で別科の木本。
1~2月、地表から分枝して株状になり、初春のまだ寒さ厳しい頃、他の花に先立って、黄色の蜜蝋を連想させる光沢のある可憐な花をつける。
ロウバイの花には多数の花被片(花弁と萼が形状的に類似している場合の総称)があり、外側の花被片は大形で黄色、内側の花被片は小形で暗紫色で、上品で薄甘い香り。
一方潮入の池の畔には「素心蝋梅(ソシンロウバイ)」。
こちらは外側の花被片も内側の花被片も同じ鮮やかな黄色で、香りも強い。
甘くフルーティで微かに石鹸のような清潔感のある香りで、ニホンスイセンの香りとも似る。
リナロール・ボルネオール・シネオールなどの精油成分由来とされる。
同じく早春の花「ウメ」よりその芳香は強くはっきりしている。
俯き加減に咲き、和の趣があり、茶花としても使われる。
その馥郁とした香りには "やすらぎ" を覚える。
✎ 属の異なる種に「クロバナロウバイ」があるが、こちらは北アメリカ原産。
4~6月頃に咲き、花はチョコレート色で、花弁は反り返らずシックな形状。
その姿・花色・花期も、「ロウバイ」とは全く異なる。