「フレンチ」「もんじゃ」「参鶏湯(サムゲタン)」とまるで落語の三題噺のように、何の関係もないような単語が一緒になるのが築地7丁目にある『あゆむ』です。
最初は月島にあったのが、その後に現在の聖路加国際病院の近くに移転したのだそうです。
この辺りは築地市場のすぐ近くとはいえ、あかつき公園や築地川公園があり、聖路加のチャペルのカリヨンが響く落ち着いた雰囲気の場所です。
別名「裏築地」とも言われて、知る人ぞ知る老舗や隠れた名店が数多くあるエリアでもあります。
店内はとても家庭的な雰囲気の造りですが、実は普通の民家をほとんどそのまま使用しているとのこと。
2階への階段は狭くてちょっと急なのですが、下町の昔の木造家屋はみんなこんな感じでした。
ランチもありますが、こちらはチゲやビビンバ等が中心で、もんじゃは夜だけのメニューになります。
その夜のメニューですが、前菜に、もんじゃ数種類、参鶏湯にデザートのアイスクリームがついて、4000円台からのコースもありますが、アラカルトで注文することもできます。
私が行った時は人数が多く、少しずつシェアできるので、アラカルトにしました。
まず最初の付きだしは、ニンニク入りのマヨネーズが添えられた生野菜に、チャプチェ。
チャプチェは意外に味が薄めでいくらでも食べられそうです。
そして、この店に来たらコレ!というのが、「海老アボカドもんじゃ」。
なんとソースの代わりに野菜のブイヨンを使用し、キャベツも使いません。
海老の赤とアボカドの色合いがキレイで、味付けはブイヨンなので素材の味がそのまま生きています。
ご主人はもともとフレンチのシェフだったので、こうしたアイデアを思い付かれたのだそうです。
そして次には「ウニのもんじゃ」。
こちらはキャベツが入りますが、やはりソースは使わずにブイヨンで、ウニを溶け込ませています。
まずはキャベツで土手を作ったあとにブイヨンを流し込み、さらにその真ん中には、ど~んとウニがのります!
こちらもキャベツの緑とウニのオレンジ色が鮮やかです。
3番目に頼んだのは、現在ではもんじゃの定番人気メニューの「餅チーズメンタイもんじゃ」。
こちらは普通にソースでいただきますが、お餅は薄切りのものを焼きながら細かく砕いて、全体にモチモチ感を出します。
最後のおこげは格別です。
焼くのは全てお店の方がやってくれますが、親切に色々説明しながら焼いてくれたイケメンのお兄さんは、ご主人の息子さんでした。
その後に生姜味の「豚肉と長ネギのもんじゃ」をいただき、最後のシメはこの店の名物、参鶏湯。
ご主人がわざわざ韓国まで行って修行してきたもので、本場の国宝参鶏湯の姉妹店にもなっている本格派。
箸で簡単に分けられるほど柔らかく煮た鶏肉に、旨さと体にいい香辛料類が溶け込んだスープは、日本人に合わせた味付けにしているそうで、体の芯から暖まります。
最初は不思議だった「フレンチ」「もんじゃ」「参鶏湯」の取り合わせは、ご主人の、素材を生かして体にやさしいメニューをという気持ちのあらわれなのかも、という気もしました。
帰る時に、「ご馳走さまでした」と声をかけたところ、厨房の奥からやさしく応えてくださった、ご主人の笑顔が印象的でした。
もんじゃの印象が変わってしまうこのお店、是非一度いらしてみてはいかがでしょうか。
フレンチもんじゃ&参鶏湯 あゆむ
住所 築地7-10-12
電話 (5550)5566
定休日 日曜・祝日