カモメ類の多くは秋、主にユーラシア大陸北部から渡来し、春になると再び北方の繁殖地へ渡去する所謂冬鳥。
その中で、ユリカモメは日本に渡ってくる小型のカモメ類の大半を占めるといわれています。
ユリカモメの特徴のひとつに、冬羽と夏羽の装いが全く異なることがあげられます。
普段よく目にする冬羽は、頭部が真っ白で目の後ろに黒っぽい斑が入り、脚と嘴は赤。
全体にすらっとした流線型で、色白で愛くるしい顔立ちです。
一方夏羽は、目の後方から首回りにかけ頭部の2/3ほど黒頭巾をすっぽり被ったようでユーモラスな容姿。
脚と嘴も暗赤色に変化し、目の周りには前方が切れた白いアイラインがくっきり見えます。
ユリカモメの "ガングロメイク" は、春が訪れ、北に帰る準備が整ったことを示す「旅立ちのサイン」。
隅田川テラスで見かけるユリカモメも、日に日に頭の黒くなった個体が増えていくようです。
この時期は、既に夏羽に切り換わりつつある "用意周到な個体" と、まだ冬羽の面影を残す "のんびり屋さん" が隣り合わせで並ぶユニークな光景を楽しむことができます。