「伝統芸能」「芸能鑑賞」というとちょっと敷居が高そうに聞こえますが、江戸時代から続いている日本の伝統芸能のうちでは「小唄」は比較的馴染みのあるものではないでしょうか。
バブル崩壊前「サラリーマンの三種の神器」は「ゴルフ」、「碁(または麻雀)」そして「小唄」でした。お知り合いの方の始めたばかりの「小唄」のおさらい会につき合わされた経験をお持ちの方も多いのでは?
今年の桜も見納めとなりそうな5日土曜日、「小唄」の鑑賞会にやってきました。場所は日本橋三越さんの6Fにある三越劇場で、「第23回古典小唄鑑賞会」が開かれています。「伝統の醍醐味―江戸小歌曲の粋を聞く」と謳っているこの会は一部と二部に分かれ出演者35名、(社)日本小唄連盟の師範の方々です。「とめても帰る」「きぬぎぬの」「しのぶなら」「待ちわびて」これが小唄の題の一例、何だか「江戸」にタイムトリップしたような「情緒」「粋」を感じさせる曲名ですね。「河庄」「落人」といった芝居を連想させる題もあります。思わず「ニコリ」「ニヤリ」とさせられる軽妙洒脱な詞章やお贔屓さんの掛け声に、「この方の声は耳に心地よい」などと勝手な感想を隣の友人と話しているうちにいつの間にか終わりに。「え!もうそんな時間?」だんだんいい気分になってきていたのでもう少し浸っていたいような。・・
終演後に「中央区伝統芸能鑑賞会」にも出演されている友人の「浜町のお師匠さん」に少しお話を伺うことができましたので特別にご紹介。
① 小唄は江戸後期、清元お葉が創始したもの。粋人たちの集うお座敷芸として発展。
② 今回は「江戸小歌曲」を採りあげたので一曲が短かったため2曲づつとなったが、必ずしもいつも2曲ではない。
③ 三味線は撥を使わず指を使う「爪弾き」。三味線を使う浄瑠璃系や唄もの系の音楽の中で撥を使わないのは小唄だけ。
④ 出演される方の名前も「蓼・・」「春竹・・」「田毎・・」といろいろ。伺ったところ現在流派は70以上あるそうです。
⑤ 「端唄」との違いは「端唄」は三味線を撥で弾き、曲調は例えていえば端唄は「流行歌」、「小唄」はシャンソン。
最後に「これから小唄のお稽古を始めてみようかな」と思われた方に
始めるのに「年齢制限」はありません。思い立った時が始め時、まずは先生を探しましょう。こういった会で「是非この先生に」または日本小唄連盟に問い合わせされればお住いの近くの先生を紹介してくださるそうです。(三味線やさんに伺うのもいいそうです)
三味線は最初から用意しなくてもお稽古場に稽古用のものが常備してあるそうです。中央区在住の先生は多いとのこと。「伝統芸能の継承者」は無理としても「慌ただしい日々の生活からちょっと離れて「江戸の粋」に浸る時間を始めてみるのは如何でしょうか?
(公)日本小唄連盟 03-5641-0830
中央区ではありませんが、「初めての人」用のワークショップも企画されています。お気軽にお問い合わせをとのこと。