築地と銀座に挟まれた「新富」。
かつては「町」がついて「新富町」と呼ばれていました。
その名の由来は、明治4年に、西側にあった大富町に対してつけられたという説と、新島原の「新」と「大富町」の「富」を合わせて「新富町」にしたという二説があるとか。
新島原と言えば、明治の初めに、すぐ隣の明石町に外国人居留地ができるのを当て込んで、遊廓ができたのですが、結局は短期間で終わってしまいました。
そんな関係か、新富町には比較的最近までは花柳界もあって、かつてお祭りの時には「新富町芸者」が艶姿を見せていたものです。
そして忘れてはいけないのが「新富座」。
江戸三座の一つであった森田座が、明治5年に猿若町から現在の税務署の辺りに移転し、明治8年に「新富座」と改称したものです。
文明開化の社交場として日本を代表する劇場となりましたが、残念ながら関東大震災で焼失してしまいました。
たまたま我が家には、大正時代のプログラムが残っていましたが、名だたる名優が出演していて、当時の様子が偲ばれます。
現在は、そうした「芝居の町」の伝統を今に伝えようとはじまった「新富座こども歌舞伎」が、評判を喚んでいます。
こんな新富町は、知る人ぞ知る大人の隠れ家的エリア、と言われることが多いようです。
とは言え、隠れ家では勿体ない、もっと沢山の人たちに、この町の良さを知ってもらおうということなのでしょうか、4(し)13(とみ)という語呂合わせに引っかけて、『4月13日はしんとみの日』というイベントが行われます。
回を重ねて3回目というこのイベント、まずは前夜祭として12日(土)15:00~19:00まで行われるのが「新富町はしご酒」。
各店共通のチケットを購入して、地元の名店14店をはしごしようというもの。
歩いているうちに顔見知りになる人もいて、一人でも全然大丈夫とのことです。
そして13日(日)は、午前中は松竹衣装の海老沢孝裕さん、午後は歌舞伎ソムリエおくだ健太郎さんの講演+食事という「歌舞伎deうたげ」や、新富座こども歌舞伎の公開稽古があります。
さらに12日、13日の両日は、日本印刷会館にて、歌舞伎の大道具・衣装が公開され、ミニ喫茶も用意されるそうです。
滅多にない機会なので、「新富」にいらしてみてはいかがでしょうか。
なお、イベントには事前予約や入場整理券が必要なものもあります。
その他、展示の時間帯等もあわせて、詳しいことはHP「しんとみさん」でご確認下さい。