1年間の杮葺落とし公演が終了し見慣れた「積物」がない正面入り口は何だか?!という印象を受けます。
新開場以来初めての「團菊祭」、五月歌舞伎座の定例となっていた公演が戻ってきました。「團菊祭」はご存知の通り、昭和11年(1936)に九代目團十郎と五代目菊五郎の功績を称えるため始まったもので戦後は昭和33年(1958)に復活しています。昨年亡くなられた十二代目團十郎さんの一年祭でもあります。歌舞伎十八番から4演目、黙阿弥の「魚屋宗五郎」「幡隨長兵衛」の2作と成田屋さんと音羽屋さんの得意とされた演目が昼夜並んでどちらも見逃せない、悩ましいところですが、今月は先に昼の部を見ることにしました。海老蔵さんの弁慶と菊之助さんの富樫に芝雀さんの義経の組み合わせの「勧進帳」が話題で発売と同時にほぼ満席となりました。私はちょっと出遅れて最前列ではあるものも花道近くが取れず「海老さま命」の友人に恨まれています。トホホ。「毛抜」の粂寺弾正を演じるのは「團菊左」と称された初代左団次の名跡を継ぐ当代四代目左団次さん、孫にあたる男虎さんが「錦の前」で美しい女形を見せてくれます。「勧進帳」は海老蔵さんの弁慶が花道に登場するともう場内われんばかりの大拍手。菊之助さんの富樫も衣装がぴたりと決まって口跡さわやか、ため息が出るくらいのかっこよさです。将来の團菊祭はこの二人が主役になるのだと思うと楽しみ倍増。一座を締めている当代七代目菊五郎さんは当たり役の「魚屋宗五郎」。禁酒していた宗五郎が「一口だけ」と飲み始めたお酒をやめられなくなり飲み続ける酔っぱらいの様子が本当にリアルで客席大笑い。充実の組み合わせです。
夜の部は「矢の根」「幡随長兵衛」「春興鏡獅子」
お問い合わせはチケットホン松竹0570^000-489(10:00^18:00)
25日までです。