5月23日、「銀座のツバメ」著者の都市鳥研究会幹事の金子凱彦氏を講師に招き、自然情報ひろば 丸の内さえずり館主催のフィールドイベント「銀座のツバメ観察会」が開催された。
「銀座のツバメ」は、金子凱彦氏が都会のツバメの愛すべき驚きの生態を30年にわたり調べ纏めたもの。
古来ツバメは益鳥の象徴として親しまれてきた。
毎年春になると、越冬地の東南アジアから、銀座にもツバメがやってくる。
旅の距離 数千km。
しかしながら近年その数が激減。
30年前に9ヶ所あった銀座の営巣場所は現在、松屋東館(銀座3)、東都ハイヤー銀座営業所(銀座8)、ムサシビル(銀座8)の3ヶ所と云う。
その原因として
①外敵のカラスが増えたこと
②ビルの建て替えなどで営巣できる場所が減ったこと
(ザラザラしたコンクリート壁面・梁、蛍光灯のような足場、深い庇・軒の喪失)
③鳥インフルエンザなどの影響で、糞害を嫌う人により巣が落とされたこと
等が考えられている。
ツバメの特異な生態として、
①土と枯れ草だけを使う独特な巣づくり
②所謂 "ツバメ返し" と称される、飛んでいる虫を捕まえる採餌方法
(因みに都心のツバメの餌は、①羽アリ ②ミツバチ・・・銀座ミツバチプロジェクトのミツバチ
たちも生態系に組み込まれているらしい)
水面上を飛行しながらの水飲みシーン
③速く飛ぶことに特化しており、脚は短く歩行には不向きで、巣材の泥を求める時以外は
地面には降り立つことはめったにない
に加え、何といっても ④人の存在をうまく利用する繁殖形態
が挙げられる。
銀座でなんとかツバメが生き存えているのは、
①虫の供給源となる街路樹が多く、かつ自然の宝庫「皇居」が近くにあること
②多くは埋め立てられたとは云え、未だ(水飲みの際、水面滑空する)水辺が近くにあること
と共に、人の心を反映した側面 ③(壁の塗り替えの際、巣を落とさない気遣いや、天井張り替えの際、古巣を捨てずに壁に新たにつくった巣台の上に置くなど)ツバメを受け入れ、巣をあたたかく見守る街のやさしさ
が大いに寄与しているとされる。
改めて生態環境の保全に関する "人の関わり"、共感性を再認識させられる。
因みにツバメは全長17cm、翼開長32cm。
喉と額が赤、腹は白、胸に黒の横帯、細長く尖った翼、尾羽は深く切れ込んだ二股形。
雌の尾羽は雄に比べ短い。
尾羽には飛行中の方向転換やブレーキの役目があると云われる。
抱卵して2週間で孵化し、更に3週間、親ツバメがせっせと餌を運んだ後は巣立ちを迎える。
来春も、是非またこの街にやってきて欲しい。
そして、そのスマートで俊敏な飛翔の雄姿をまた見せて貰いたい。