ぼくは蕎麦をこよなく愛しており、東京はもちろん、各地を旅する時も蕎麦の名産地では必ず名店を訪ねることにしています。
中央区はその中でもおいしい蕎麦屋さん、個性的なお店がたくさんあります。今回はぼくの地元の行きつけのお店を改めてご紹介します。
築地場外市場の一角にあり、市場関係者はもちろん、地元住民、観光客にも評判のお店『長生庵』さん。蕎麦はもとより、親しい人との酒席としても重宝する店です。"せいろ"もいいですが、"カレー南蛮"がぼくは大好きです。蕎麦仲間での会合でも利用させていただいています。
〔築地共栄ビル〕地下にあるのが『築地藪そば』さん。『上野藪』の流れを汲む正統派。時々"蕎麦と酒を楽しむ会"が開かれたりする、親しみのあるお店です。確かに酒の肴は一つひとつ充実しており、築地らしい空間を醸し出しています。
『布恒更科』さんは平成通りに面した上品な構えのお店です。店内も落ち着いた雰囲気が漂い、平日の昼下がりなど、いかにも蕎麦好きな女性が一人で蕎麦をすするシーンに出会うこともあります。温かい蕎麦もつゆがしっかり麺に絡まってとても印象的です。
『更生庵』さんは築地本願寺の並びで、大通りからよく目立つ場所にあります。地元の顔役でもあるご主人の明るくて快活な声がいつも店内に響いています。決して主張しすぎない深みのある拵えは懐かしくて安心の味です。
新富町寄りの位置にある『さらしなの里』は蕎麦好きが足繁く通う有名店です。代々培われた蕎麦への熱意は当代にもしっかり受け継がれています。たまに落語会が開かれることもあります。冬場の鴨鍋や季節ごとの変わり蕎麦も楽しみなメニューです。
先日、『さらしなの里』で蕎麦仲間と食事しているときに、英国から旅行されているという夫婦客と隣り合わせになりました。築地に来て鮨ではなく蕎麦を選んだというところは、なかなかの"日本通"だと思いました。蕎麦や日本酒のことを話題にしばらくの間歓談しました。
蕎麦屋での国際交流もまたとても印象的な思い出です。国際観光時代となり、蕎麦ももっと外国の方に評価されていくと期待しています。