このような方が、観光協会特派員にいらしたんだ。
何とも誇らしく、そして懐かしく感じられました。
「まち歩き引率者講習(おもてなし講座)」の講師は、日本橋高島屋でコンシェルジュをなさっている、敷田正法(しきた・まさのり)さん。67歳。
力強さを柔らかな表情で包み込んだ、恰幅の良いおじ様。
その、良く通る声と豊かな表現に、話の中に心地よく引き込まれました。
「江戸まち歩き引率者講習」は、中央区の観光協会特派員や文化財サポーター、観光大使・ミス中央などを参加対象としたワークショップです。
今年度は、引率者の役割や心得、旅行に関する法令などの2回の座学と、モデルコースを設定して実際に引率する実地講習を行い、7月29日に4回目のワークショップとして「おもてなし講座」が開催されました。
2020年には東京にいて、「その時の自分ができる関わり方をしてみたい」との思いから、私も参加してきました。
敷田講師は、デパート業界の歩み、状況分析から始まり、高島屋の経営理念、顧客満足、そして「最高のおもてなし」を追求しているコンシェルジュとしての姿を話してくださいました。
これらの内容は、ともすると、多くのビジネス書などからも得ることができる事柄かもしれません。
しかし、時間が短く感じられるほど、一つひとつが素直に体に入ってきました。
自らが取り組んでこられた、様子が思い描けるエピソードの数々が魅力的でした。
「情報を持っている友人をたくさんつくること。それは、情報の引き出しになる。」
「お客様に近づいて、寄り添った答えを探す。」
「お客様に、選択肢のある答えを用意する。」
敷田コンシェルジュの魅力は、その状況に気づき、素早く行動し、笑顔が生まれることを楽しんでいらっしゃる所にあると感じられました。
そういえば、私、3回目のワークショップの引率実地講習を、しばらく記憶から消していました。
旗を持って先導しながら、要所要所で案内するシミュレーションはしていたつもりだったのですが、曲がるべき角を一つ間違えて、横断歩道のない道を渡りそうになったのを手始めに、引率の列はバラバラになるわ、道いっぱいに広がるわ、指示を出そうにも適当な言葉が出なくなるわで、この実習はなかったことにしてしまおうと、酒をあおって忘れてしまいました。
「力が及ばなかった悔しさを、素直に認めて、次に生かせばいいじゃないですか。」
敷田講師から、そんな励ましをいただいたような気がしました。
ところで、先に「懐かしく感じられた」と書きました。
学生時代に、お中元・お歳暮の時期に高島屋さんでアルバイトをしており、もしかするとその折にお会いしていたかも・・・。