登場人物すべて死亡―斬殺、毒殺、自害とさまざまですが、「惨殺」に近いものが多く、客席からも「キャー!」という声が。七之助さん演じる家中一番の剣の使い手、小姓の伊織之介が平然とばっさり、スッパリと陰謀の邪魔になる相手方を切り殺していきます。美しい顔だけにぞっとする恐ろしさも満点。すっかり涼しくさせてくれて夏狂言ぴったりの演目です。。「恐怖時代」は谷崎潤一郎の原作で初演は昭和26年8月、昭和56年(1981)に武智鉄二演出で上演されてから33年ぶりとのこと、扇雀さんのインタビュー記事によると「芝居自体が伝説のようになっている」舞台。その時の伊織之介は今の坂田藤十郎さん、今回息子の扇雀さんが演じるのは側室お銀の方です。残忍な酒宴に耽る殿さまに橋之助さん、お銀の方と不義の仲の家老に弥十郎さんと魅力的なキャスティングです。わかりやすい筋なので歌舞伎にあまり馴染みのない方にもお楽しみいただけると思います。次の舞踊「龍虎」で引き抜きがうまく行かず、後見が引っ張った袖の袂部分の糸が切れてしまうハプニングがありました。役者さんは凄いですね。何もなかったかのように踊りを続けていました。
(あとで怒られるのでしょうね)。ご紹介したのは第一部ですが、8月納涼歌舞伎は例年のように3部制で2部は「輝虎配膳」「たぬき〉3部は「勢獅子」「怪談乳房榎」、2部で勘九郎さんの長男、七緒八くん、3部で小山三さんと中村屋の人気者も登場します。明日は立秋ですがまだまだ暑さは続きそうです。歌舞伎座で「納涼」狂言をお楽しみになりませんか?
お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10;00~18;00)千穐楽は27日です。
一部の開演は11時、2部15時、3部18:15です。