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博物館が欲しい!

[佐平次] 2014年8月25日 17:09

中央区の秋のイベントに「中央区まるごとミュージアム」というのがある。
徳川家康が江戸に幕府を開いてから400年、江戸から東京と名前を変えても日本最大の町、いや、世界でも稀な文化都市であり続けてきたのであり、そのまた中心地である中央区は町全体がミュージアムといっていいほど名所・旧跡・芸術・芸能など文化に恵まれたということで、各種企画されたイベントや文化施設を巡る無料バスや船の運行などでより多くの人に中央区の魅力を知ってもらおうというものである。

しかし、多くの名所・旧跡は明治維新、関東大震災、第2次世界大戦などで破壊され、また街の発展と共に取り壊され○○跡といった記念碑と解説パネルのみで当時の面影を残すものは非常に少なくなってしまった。

 現在、最も江戸から東京の歴史と文化に関わる資料を収集、保存、展示している博物館といえば両国にある「東京都江戸東京博物館」である。

http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/

庶民の日常生活、火消し、食生活、文化など、城下町としての江戸に関する展示が行われている。
常設展示のジオラマや縮尺模型はびっくりするほど精緻でさすがに都立の博物館と思わせるほど立派であり、その他の展示物の各アイテムも貴重な資料が多い。高床式の建物自体が江戸(東京)の歴史・文化を展示するのに相応しいものとは思えないし、階段を上がったコンクリートの広場から長い長いエスカレーターを上って建物の最上階から江戸の町が展開されていく動線も展示として些か残念ではあるが...。
もちろん、博物館は展示だけでなく、資料の収集・保存に加えて研究も大きな目的であるからこの「東京都江戸東京博物館」の存在価値は大であることは間違いない。

江戸東京博物館.JPG

広場.JPG日本橋.JPG江戸町の模型.JPG

 もう一つ江戸時代に関する資料等を収集、保存及び展示している博物館として「深川江戸資料館」がある。
http://www.kcf.or.jp/fukagawa/

こちらは、その名前の通り江戸時代の深川の町並みと資料の展示であり、場所も江東区の清住白河(都営地下鉄大江戸線・東京メトロ半蔵門線)にあり規模も「江戸・東京博物館」の数十分の一の小さなものだ。
しかし、建物も低層で違和感がなく、展示は「江戸庶民の暮らしの再現」をコンセプトとしたもので、小さいながらも江戸情緒に浸れるなかなか楽しい良い展示で一度行かれることをお勧めする。

また、この「深川江戸資料館」は寛政の改革の松平定信の墓がある「霊巌寺」の隣にあり、通りの公衆便所もなかなか味わいのある建物にして江戸時代の雰囲気を醸し出している。

深川江戸資料館.JPG米屋.JPG長屋.JPG

霊巌寺.JPG公衆便所.JPG

 ところで肝心の中央区であるが、明石町に「郷土天文館」という郷土資料を収蔵・展示している施設がある。
https://www.city.chuo.lg.jp/bunka/timedomeakashi/index.html

区民有形文化財である将軍に白魚を献上した「白魚献上箱」などの貴重な資料があるが区の複合施設の一部(6階)であり、残念ながら規模、内容ともとても中央区を代表する博物館と呼ぶにはちょっと寂しい。。
それに、写真撮影が一切不許可なのも現代の博物館としては如何なものだろう?

タイムドーム明石.JPG

 中央区は土一升金一升の土地であり、昔のモノを残す、或いは再現するという施設を設けるというのは非常に困難であるというのは理解できる。 また、世界有数の商業地なのだから楽しく買い物ができればイイというのが多くの観光客の希望なのだとも思う。
 しかし、和食が世界遺産に登録され、世界的に日本の伝統文化に注目が集まっており、その文化に触れたい、知りたいと考える観光客が増えてきているのに、地元にはそのような文化を学ぶ施設はないので江戸のことを知りたいのなら「江戸・東京博物館」に行ってください!ッと言うのはとても残念に思う。

 そこで、三原橋の地下街の跡地を利用して、中央区を中心とした江戸の町並みと現代を比較したジオラマやパノラマを展示したり、文化・芸能・芸術などの紹介や、各種イベントや名所旧跡などの情報の発信基地を兼ねた「江戸・東京資料館」みたいな施設を造っては如何でしょう?
都道の下であり、構造上の問題点等もあるでしょうが、十分な広さとはいえないけれど抜群の立地条件にあり、外国人を含め、「江戸のまち」に興味を持つ観光客にとって素晴らしく有意義な施設ができると思うのですが...。

 そして、数年後に築地市場が豊洲に移転した跡地に「江戸まち」を再現したテーマパークを造っては如何でしょう?
再現された江戸の町並みを散歩しながら居酒屋、蕎麦屋、小料理屋、天ぷらの屋台、茶店などで和食を堪能し、芝居小屋で演劇、日本舞踊や人形浄瑠璃を鑑賞し、長屋で彫金、木工や飾り職人のなどの伝統芸術の技を見学し、和装小物や浮世絵、和菓子などのお土産を買うことができる。
また、広場では大道芸人や仇討のパフォーマンスがあっても楽しいだろうし、屋形船での隅田川クルーズを組み合わせてもいいし、浜離宮庭園の散策もできるし東京の新しい(古い?)観光スポットとして注目を浴びること間違いないだろう。
特に、日本に来ても東京にしか居られない外国人観光客に日本の伝統文化・芸術を紹介するのに最適の施設となろう。

 もし、築地にこのような江戸まちの施設ができると、「江戸・東京博物館」「深川江戸資料館」と共にすべて都営大江戸線で結ばれるというのも面白い。