午睡のまどろみから覚めても、暑さに打たれすぎた体は、なかなか起き上がることができません。
早めの夕餉を取って、ごろごろしているうちに、ようやく貴重な休日の残り時間に気持ちが移ってきました。
これから行っても間に合うイベントなどはあるでしょうか。
お昼寝から覚めた金魚つながりではありませんが、コレド室町のナイトアクアリウムはどうでしょうか。
集めておいたパンフを引っ張り出せば、最終入場が23時00分で、23時30分までオープンしているとのこと。
充分に楽しむ時間はあります。
アクアリウムは9月23日まで開催されます。
11時00分開場で19時00分までが「アートアクアリウム」。
19時00分からが「ナイトアクアリウム」という構成で、二つの異なる演出を楽しめます。
ナイトは有料のドリンクも会場内で味わうことができます。
ボトルやカクテルグラスを片手に淡い光の中を歩めば、背伸びした大人の気分に浸れます。
こんな金魚の群れの見せ方があるのか。
・・・驚いてしまいます。
水槽の多様さは、日本のガラス技術の水準の高さを示しています。
「高速高濃度で培養された硝化細菌」。初めて目にする用語ですが、水を浄化し、このアクアリウムを演出する影の主役だということを知りました。
突然変異の赤い金魚に、深い愛情と情熱を惜しみなく注ぎ込み、金魚をめでるという風流な文化を育てた先人たち。
江戸時代の豊かな教養と、遊び心の成せる技が実をむすんだ姿です。
戦のない平和な時代だったから、金魚の育成に集中できたのでしょう。
ナイトとあって、入場者の多くは二人連れでした。
水槽の縁にもたれて、すこし上目づかいで見上げている彼女。自分の美しく見えるしぐさを知っているのですね。
きらきら輝く水槽をバックに、ボトル片手に写メを取っている彼氏。十分にイケメンですよ。
あれっ。ひとりでじーっと座ったまま、水槽の金魚に語りかけているあなた。疲れているようですね。しっかり癒してもらってくださいね。
照明を落とした薄暗い空間にも目が慣れて、水槽と水の流れも区別がつきました。
あふれる音と光が心地よい高揚感を与えてくれます。
音楽は、シンセサイザーの音ばかりではなく、自然の音や古典楽器の音を組み入れたら、また違った和金の雰囲気を醸し出すことができたかもしれません。
まるで金魚をイメージした、白地に赤の斑点柄の浴衣のおねえさん。
ひらひらした絹のスカートをひるがえし、すすっと歩くおねえさん。
「金魚さんたちよりも、絶対こっちの方が可愛いぞ!」
5歳児のしんのすけ君なら、そう言いそうだなと思いながら通りへ出ました。
周辺の商業施設はライトアップや大のれんが掲げられ、歴史ある日本橋の風情を漂わせていました。
夏のライトアップは8月31日までのイベントです。