冬晴れの穏やかな日差しに誘われて、ふらりと日本橋界隈を歩いてみました。
室町二丁目。「福徳神社」。今、何かと話題のスポットですよね。
白い髪と髭の、神様っぽい人が杖をついて出現する。
名前が福々しいですし、「芽吹神社」という別名も、新春らしいふくらみを感じさせます。
平安時代から、千数百年の由緒を持ちながら、昨年10月新しく社殿が建て替えられました。
清々しさが一層きわだちます。
社殿正面から左の小さな広場。
その北西隅に、浮世小路の碑があります。
「うきよしょうじ」。色気のある名前ですが、食べ物屋さんが集中していた通りだったといいます。
料亭「百川(ももかわ)」の跡という記載もありました。
江戸期を代表する料亭で、明治初年まで存在しました。
落語にある「百川」の舞台でしょうか?
「百川」は、六代目三遊亭圓生の十八番といわれた演目です。
私はCDの選集で、古今亭志ん朝を先に聞きました。
志ん朝さんが語る、田舎から出てきた百兵衛さん。
うまいもんですね。
泥臭さはないけれど、誠実なおやじさん。
江戸の五本指に数えられた料亭で勤まるかな。
やっぱり、そうはいかないのが落語の常です。
なまり言葉と江戸っ子の早飲み込みで・・・。
志ん朝師匠といえば、粋な江戸っ子、育ちの良い若旦那、気風のいい職人さん、色っぽい年増の姉さんなど、演じたら目の前に江戸の景色が浮かび上がる、落語家さん。
タッ、タッ、タッ、ターと流れるような啖呵など聞くと、胸がスッとします。
「百川」は、料亭のピーアール戦略から生まれた噺ともいいますが、そうだとしたら、名プロデューサーがいたのですね。
お話の季節は、神田祭のころですから、夏に区分されるのですが、
まあ、古典落語の陽気さに乗って、一席聞き返してみたくなりました。