やきものの鈴木藏氏、おりものの北村武資氏、人間国宝お二人のコラボ展が銀座和光で始まっています。
会場に入ってまず目を惹くのは『高瀬川』と名付けられた風炉先屏風と志野茶碗の組み合わせ。前漢時代に完成した人類史上最薄とされる幻の『羅』の技法を復元した透文の茜色が志野茶碗の温か味のある乳白色にぴったりです。こんな贅沢な組み合わせで茶会ができたらどんなに素敵なことでしょう!お二方ともご紹介の必要のないほどそれぞれの分野での高名な方ですが、この展覧会の監修をされた林屋晴三先生によれば『二年ほど前に亡くなられた十四代柿右衛門さんの提唱で「傘寿記念に何かいままでにない面白いことをやろうよ」というのがきっかけとのこと。鈴木先生のどっしりしているのにとてもシャープな造形のお茶碗を見ていると中にお茶が入るとどんなにか映えるだろうとわくわくしてしまいます。私には気楽に購入できる価格ではないのでやはり「宝くじ」を頼みにするしかなさそうですが、「見せていただくだけなら時間はたっぷり」と思っていたら余りにも「欲しい」オーラが出ていたらしく「如何ですか?」と声をかけられてしまいました。北村先生の帯は既に完売。他に裂地や着尺・袱紗・掛け軸などの作品もありますし、花器や皿、向付や銘々皿なども。「陶芸と織の世界が現代の生活の中に見事に調和する」(和光さんの案内)、林屋先生の言を借りれば『鈴木さんの志野は絶えず理想を求めて挑んで尽きることがない』『北村さんの心と手は魔性にあるとしか思えない』『孤高の技を持つお二人の仕事』傘壽になられた人間国宝お二人の貴重なコラボをご覧になってみては如何でしょう。
1月25日(日)まで銀座和光本館6階和光ホール10:30~19時(最終日は17時まで)