平成27年4月1日から6月30日まで、「タイムドーム明石」で、「幻の万国博覧会」という記録映画が上映されています。
昭和15(1940)年、月島4号埋立地(現在の中央区晴海)をメイン会場として日本初の万博(紀元2600年記念日本万国博覧会)が予定されていました。開催期間は3月15日~8月31日の170日間、想定観客数4500万人という大プロジェクトでした。
しかし、この万博は戦争激化で開催直前に無期延期となったのです。
本映画では、この行事に合わせて作られた勝鬨橋の建造中のようす、東京市庁舎を月島へ移転する計画なども紹介されています。築地ホテル館、銀座煉瓦街の建設なども描かれ、単なる"幻の万博"の資料紹介にとどまらず、幕末から明治・大正・昭和、そして今日にまで至る日本の近現代史を概観したものとなっています。
この"幻の万博"については、サイデンステッカーさんが次のように簡明に述べています(『立ち上がる東京』:原書1990年)。
>博覧会の計画は、会場に予定していた隅田川の河口や横浜の海岸で地鎮祭を行うところまで進んでいたし、すでに入場券さえ売り出され、売れ行きも好調だった。隅田川のいちばん下流に架かる勝鬨橋が作られたのも、実は博覧会の準備の一環だったのである。使節団が海外に派遣され、宣伝も始めてもいた。ところが、オリンピックを辞退したのと同じ昭和13年、政府は博覧会も無期延期する方針を発表する。そこで東京市も、もっと安あがりな紀元2600年行事に切り替えた。市役所を、博覧会の会場に予定していた月島に移転する話も出たが、利権がからんでいるという報道があって沙汰やみになってしまった。(95)