住吉神社の例祭(本祭り)では、かつて神輿を担ぎながら隅田川に入水し、次いで伝馬船に安置し氏子区域を巡幸するという、海中渡御・船渡御が挙行されていたと記されています。
しかし、防潮堤の建設や河川の汚染等の理由から、昭和37年の例祭を最後に途絶。
その後、隅田川の河川敷が整備され、船の発着が可能となったこともあり、地元民の運動が功を奏し、平成2年、28年ぶりに船渡御が漸う復活。
現在は佃公園のテラスから宮神輿を御座船(浮き桟橋)に安置し、佃・月島・晴海の氏子地区を巡ります。
社名旗や五色の旗が翻り、供船(ともぶね)を従え、曳船に曳航された御座船が巡航する様子は、佃島の伝統を脈々と受け継ぐ歴史の重みが脳裏を過り、感慨一入(ひとしお)です。
東京湾晴海沖では「海上祭」が執り行なわれます。
海を司る神である住吉三神を主祭神に祀る住吉神社ならではの祭祀。
その際宮司が奏上する祝詞は、主に"海事関係者の安全・隆盛(豊漁)" を祈念する内容と聞きます。
5:30 出社祭
6:00 宮神輿宮出し
7:00 船渡御出船(海上祭)
8:00 船渡御着船
宮神輿は、天皇陛下の高御座を模して制作されたとも云われ、八角形の形状で「八角神輿」と呼ばれ親しまれています。
町内の道路が狭く渡御に支障をきたす為、担ぎ棒が短くされていること、海中渡御に備え内部まで黒漆塗りが施され気密性が高められていることも特徴のひとつとされます。
初代の天保八角神輿は170余年を経て痛みが激しい為平成23年に新調された平成八角神輿は、前回平成24年の例祭(本祭り)からデビュー。天保八角神輿は例祭期間中、舟入堀のテラスに安置されています。
"水かけ祭り" と称されるように、沿道からホースやバケツで豪快に水がかけられ、水しぶきが飛び交いますが、海中渡御が途絶えた今、神輿洗いの名残りとも云われています。
着船後は氏子町内巡幸を経て御旅所へ。
神輿が巡幸する経路にある家の軒先には遺影が並べられている光景をよく目にします。
長年産土神(氏神)として崇める心の拠り所であり、 "生活に根ざした祭り" に対する独特の思い、祭りを通じた地域共同体の強い絆をを改めて強烈に印象付けられるシーンです。