本日(2015年9月20日)の日経新聞「リーダーの本棚」に、久元喜造氏が登場し、愛読書として永井荷風のいくつかの作品を挙げています。久元氏と言っても、東京の方には知名度もないでしょうが元自治官僚の神戸市長です。私は多少の縁があって、少し話したこともあり、興味深く読みました。久元氏が荷風の「断腸亭日乗」に接したのは、20年ほど前に大学の友人に勧められてのことだそうですが、私は今年に入ってからのことです。
大学入学して初めて東京に出てきてからもう半世紀にもなるのに、「東京」とか「江戸」というターム、関東弁に嫌悪感が消えなかった私が、急に江戸文化に興味を感じ始めたのは、今年に入ってからであり、中央区観光検定受験に至りました。実は、月島駅近辺に住んでもう十数年にもなるのに、「もんじゃ焼き」なるものを食したのは、先日の住吉神社本祭の際に、大学時代の友人を招いた際が初めてでした。
そして、遅まきながら、永井荷風、谷崎潤一郎の作品を読み、ついには両者の個人全集まで入手しました。個人全集は、中古市場で現在驚くべき安値で取引されており、買うものにとってはありがたい限り。しかるに、中央区の日本橋図書館では、谷崎全集は貴重品扱いのようになっているのは滑稽と言うほかない。
永井荷風の「断腸亭日乗」も岩波文庫版は抄録であり、全文を読むためには全集が必要となります。
やっと暑さも去って、しばらくは散歩にも絶好のシーズンとなります。清貧老人としては、荷風の「断腸亭日乗」「日和下駄」、谷崎の「幼年時代」などを座右に置きながら、少し荷風の気分になってあらためて東京都中央区内を散策したいと思っているところです。