映画「東京行進曲」が公開されたのは、昭和4(1929)年5月31日で、同時に主題歌がビクターレコードから発売された。銀座を歌った一番は
昔恋しい 銀座の柳
あだな年増を 誰が知ろ
ジャズで踊って リキュルで更けて
明けりゃダンサーの 涙雨
Seidensticker氏の東京行進曲("Tokyo March")英訳を参考までに引くと("TOKYO RISING")
The Ginza willows bring thoughts of the past.
Who will know the aging, fickle woman?
Dancing to jazz, liqueur into the small hours.
And in the dawn a flood of tears for the dancer.
(wikipediaからコピー、public domain 確認済)
荷風も昭和4(1929)年6月25日の『日乗』で、少し「東京行進曲」にふれている。
「夜お歌を伴ひ銀座を歩む。三丁目の角に蓄音機を売る店あり。散歩の人群をなして蓄音機の奏する流行歌(はやりうた)を聞く。沓掛時次郎とやらいふ流行歌の由なり。この頃都下到処(いたるところ)のカッフェーを始め山の手辺の色町いづこといはずこの唄大いに流行す。その他はぶの港君恋し東京行進曲などいふ俗謡この春頃より流行して今に至るもなほすたらず。歌詞の拙劣なるは言ふに及ばず、広い東京恋故せまいといふが如きもののみなり。」
歌は、当時の東京風景とともに、「You Tube」で見聞きできる。