先日、勝鬨橋の脇にある 「かちどき・橋の資料館」に久しぶりに立ち寄ってみました。
この資料館は、勝鬨橋を開くために使用していた変電所を改修して作られましたが、今年で10周年を迎えたそうです。
帰り際に、資料館のおじさんから10周年記念の限定ポストカードをいただいたのですが、嬉しくなった私はいい機会と思い、隅田川テラスを歩いた時にいつも思う疑問について、おじさんに質問をしてみました。
お聞きしてみたのは、「清洲橋」。
関東大震災後の復興事業で造られ、国の重要文化財にもなっている吊橋(つりばし)です。
同じ復興事業で造られた「永代橋」が男性的といわれるのに対し、この「清洲橋」はそのフォルムから『女性的』といわれ、隅田川の橋の中でもたいへん人気があり、愛されています。
隅田川テラスを歩くといつも私の目がいってしまうのが、この部分。
遠目で見ると、吊橋の柱の下の方がくびれていて、華奢な感じでなんだかポキッと折れてしまいそう。吊橋の柱は、太くて地面に突き刺さっているイメージがあったので「何でこんなんで大丈夫なんですか」と、超ド素人な質問をしてしまいました。
やさしく教えて頂いたのですが、前提知識が無かったり力学の話が出てきたりして少々難解。もう少し勉強してからお聞きすればよかったと後悔をしつつも、下記を覚えて帰りました。
・この部分は「水」と「日」を合わせた『沓』という漢字で、『しゅう』と読む。
・沓により、橋の重さによる力の方向が橋脚への真下方向に伝わる。
・橋が沓に乗っかっているイメージ。
その数日後、図書館などで調べてみると、この部分は『支承(ししょう)』とよばれるところで、英語ではshoe(シュー)、シューズのシューという単語でした。『沓』は「くつ」と読むため、どうやら建築業界用語でこの『沓』という漢字を当てて「しゅう」と読んでいるらしいです。
橋の重みを下に伝える部材ですが、橋は温度変化で伸び縮みしたり歪んだりするので、この支承が「あそび」の役割を果たしてうまく調整することもするそうです。
清洲橋にとってはまさしく沓(くつ)をはいて橋脚に乗っかっているイメージなので、この部分は人間でいうとアキレス腱とか足首なのかも。
とすると、女性の清洲橋さん風に言えば、「か細い 女性の足首」といったところになりましょうか。妙に納得してしまいました(ちょっと失礼カナ?)。
清洲橋は吊橋ですが、いろいろ調べてみると珍しいつくり方の吊橋で、「自定式吊橋」というタイプ。
普通の吊橋は「他定式吊橋」というタイプで、橋の両端にはケーブルを引っ張るための重り(アンカレイジ)があります。
(下の写真は他定式吊橋のレインボーブリッジで、白い巨大な塊がアンカレイジ。)
しかし清洲橋のような「自定式吊橋」は橋桁の両端にワイヤーを繋げてしまうタイプ。橋の両端に重りが無いため、結果として、スッキリとした見栄えになるようです(因みに清洲橋はワイヤーではなく鋼製チェーンでこれも珍しいそうです)。
また吊橋は、頑丈な太い柱が地面に突き刺さっているイメージを私はしていたのですが、「自定式吊橋」の場合は沓(くつ)をはく形になることにも関係しているようで、私の清洲橋の柱に対する見かたが誤っていました。
この「自定式吊橋」という橋の作り方が、清洲橋の「女性的な魅力」を生み出している、そんな気がしました。
まだ勉強は足りませんが、おじさんにお聞きしてからいろいろと知ることが出来たので、よかったです。ありがとうございました。
さて、隅田川ですが「橋の博物館」とも言われているくらいいろいろなタイプの橋があります。
11月1日(日)の 「中央区まるごとミュージアム」では何と、無料で船に乗れてしまうのですが、せっかくですのでぜひ船に乗って、いろいろな橋を見比べてみるのはいかがでしょう?
「清洲橋」は、他の橋と比べるときっと女性的に感じられる所があるのではないかと思います。
ぜひ皆さまなりに「女性的な魅力」を見つけていただけたらと思います。