地下鉄大江戸線・築地市場駅の出入り口のほど近くに「築地市場正門」があるが、この門から築地場内市場に入られる方も多いと思う。
この築地市場正門の傍らにある「拾得物掲示板」と書かれた掲示板。
ご覧のとおり、この掲示板には市場ならではの落とし物が書かれることがある。市場での「旬な」落とし物が、よく届けられるのだ。
今年の春頃から撮りためた写真を使って、その落とし物を「季節を感じながら」少しご紹介してみようと思う。
まず6月になって登場した『稚アユ』。
初夏の訪れを感じさせるこの魚。築地の天ぷら屋でもこの時期にアユを出す店が多いようだ。
6月になると全国各地でアユ釣りが解禁され、釣人にとって楽しみなシーズンが始まる。
子供の頃に読んだ「釣りキチ三平」というマンガに、アユは「すいか」の香りがすると書いてあった記憶がある。アユの季節になると川が「すいか」の香りで包まれるらしい。本当なのだろうか・・・。
アユは「鮎」と書くが、「香魚」とも書くらしい。
この掲示板によく登場したのが、その『スイカ』だ。
多分、『SUICA』のことだと思うのだが、夏に届けられた「スイカ」の中には、もしかしたら『西瓜』があったのかもしれない。
築地市場は「魚市場」のイメージかあるが、「青果市場」も築地場内にある。昭和初期に魚市場が日本橋から築地に移転してきたが、同じように青果市場が京橋から築地に移ってきた。
そして来年、場内にある両市場は豊洲に移ることになった。
夏の終わりに登場した『青柚子』。
柚子は冬のイメージがあるが、収穫時期は夏の「青柚子」と晩秋の「黄柚子」の2回。青柚子は柚子胡椒など、爽やかな香りで楽しまれる食材のようだ。
今年の夏のはじめは非常に暑かったが、8月後半になると涼しい日が続き、そのまま秋を迎えてしまった。
そして、9月に入っていきなり登場した『松茸』。
この「秋の味覚の王様」の登場により、今年の夏に終止符が打たれた。
『スッポン』が登場。
旬の時期はよくわからないが、どのような状態で拾われたのか気になるところ。歩いていたりしたらちょっと怖いかも。
秋の味覚『秋刀魚(さんま)』もきちんと登場してくれた。
お隣の『あさり』は春と秋が旬らしい。近くの佃煮屋で佃煮になる予定だったのだろうか。それとも深川めしか?
おぉぉぉぉぉっ!
ダブルで『スッポン』が登場!
あぁ。ついに登場してしまった。
『下仁田ネギ』。
ネギと言えば冬の野菜。ちょっとまだ早い気がするが、季節は待ってくれないということか。
冬の訪れをイメージさせる『ぎんなん』。築地では、場外にある波除稲荷神社の「しだれイチョウ」を思い起こしてしまう。
波除稲荷神社のしだれイチョウが今、黄色に(11月28日撮影)。
イチョウが黄色くなるといよいよ冬に突入か、といったところ。寒くなってくると、人は築地市場に集まってきて、より賑やかになる。
(昨年の暮れの波除稲荷神社)
今年も残り一か月。
築地はこれから、年の瀬の風景に変わっていきます。