2013年にユネスコの無形文化遺産にも登録された「和食」。旬を大切にし、食品そのものの味を引き出す特徴から、健康でオシャレな食文化として世界中の注目を集めています。そんな和食を支えるのが「しょうゆ」。単なる調味料としての味付けにとどまらず、「うまみ」と「香り」を演出する存在として、すし・づけ(まぐろ)、佃煮、蕎麦のかけ汁、おでん、鰻蒲焼のタレなど江戸食文化においても大活躍です。
しょうゆは、古来上方を中心に製造が行われてきましたが、徳川家康の開府に伴い人口が急増した江戸にも海路で「下りしょうゆ」が供給されるようになります。更に17世紀半ば以降、関東でも銚子、野田、佐原などでしょうゆ製造が盛んになり、江戸川、利根川の水運を利用して大消費地の江戸に直接輸送が可能であったことや品質の向上もあり、高級品である「下り物」とともにこれら「地回り物」の供給が活発になり、更にしょうゆの消費が拡大します。それらの江戸への輸送物資の物流施設として存在したのが、大川、日本橋川、箱崎川などの河川や水路・運河沿いの河岸でした。鮮魚は日本橋、米は蔵前、酒は新川、野菜は神田などと、物資によっては河岸が決まっていた場合もあるようですが、行徳の塩を揚げる行徳河岸を始めとして、醤油は箱崎川周辺で揚げることが多かったようです。行徳河岸から一歩横に入った稲荷(とうかん)堀。明治時代に埋め立てられ、現在はとうかんぼり通りになっていますが、こちらに醤油会館があります。日本醤油協会の山中さんにお話を伺いました。
醤油会館は、日本醤油協会、日本醤油技術センター、醤油業中央公正取引協議会など醤油関係の団体の事務所が入っているだけで、残念ながらしょうゆ博物館等の一般向けの公開はありませんが、会館の1階外側のウィンドウディスプレイには、全国の醤油会社の製造したしょうゆ、しょうゆ味レシピ&エピソードコンテストの入賞作品や今は使われなくなった醤油樽などの展示があります。
【全国醤油会社からのしょうゆ展示】
【醤油樽】⇒ネギマの殿様が広小路の煮売り屋で「にゃ~」を食するために腰を掛けたのはこれでした。(/archive/2015/11/post-2812.html)
また、日本醤油協会しょうゆ情報センターではしょうゆ食育プロジェクトとして、小学校等に対して「しょうゆもの知り博士の出前授業」を行っており、出前授業の様子はリンク(https://www.youtube.com/watch?v=nj9JZIYpD_U)で見ることが出来ます。
現在ではもちろん醤油樽を積んだ船が箱崎川を遡ることはありませんが、このような歴史もあり周辺には醤油会社の本社(ヒゲタ)、東京拠点(ヤマサ、ヒガシマル、キノエネ、盛田(JFLA)など)があるほか、中央区に本社がある酒・食品卸の国分(こくぶ)、ぬ利彦(ぬりひこ)も、それぞれ土浦の醤油醸造、醤油の仲買いと、しょうゆに縁の深いルーツを持っています。
【ヤマサ醤油・東京支社】
【キノエネ醤油・東京ビル】
特派員の滅紫さんが6月13日記事「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション(/archive/2015/06/post-2514.html)」で紹介されている、箱崎TCATそばにあるCafé Musée H(カフェ・ミュゼ・アッシュ)では、マーブル醤油アイス(400円)を楽しめます。醤油会館の近くにありますので、こちらも是非ともお試しあれ!
【醤油会館】
所在地:〒103-0016 中央区日本橋小網町3-11(とうかん堀通り)
交通:地下鉄半蔵門線水天宮前駅下車徒歩7分程度、地下鉄日比谷線・東西線茅場町駅下車徒歩7分程度。
*ディスプレイは屋外にあるためいつでも観覧可。
【Café Musée H(カフェ・ミュゼ・アッシュ)】
所在地:〒103-0014 中央区日本橋蛎殻町1-35-7
交通:地下鉄半蔵門線水天宮前駅下車目の前
営業時間:11:00~17:00(土・日・祝 10:00~、月休)
電話:03-3665-0251