ひと際目を引く黄色いタンポポの花は春の風物詩ですが、今では冬の日だまりでも見つけることができます。
4月6日には、東京管区気象台より、生物季節観測情報のひとつ「タンポポ開花」が発表されています。
因みに今年の開花は平年並み、昨年より6日遅かった由。
関東地方周辺に分布する在来種の「カントウタンポポ」は、近年外来種の「セイヨウタンポポ」に押されて個体数を減らしていると云われて久しいですが、東京23区で採取されたセイヨウタンポポと云われるものの内、実に88%はカントウタンポポとセイヨウタンポポの間に生じた雑種タンポポとの報告もあるようです。
外観上、カントウタンポポは花弁を下から支えている「総苞片」は密着していて外側に向かって開出していませんが、セイヨウタンポポの「総苞外片」は花弁を包んでいる「総苞内片」から離れて反り返っていることで区別されると云われていますが、中間の形質のものもあり複雑です。
園内潮入りの池(大泉水)の周囲に咲いているタンポポには、外見上カントウタンポポの形質が見られますが、園に尋ねると、文化財庭園で手を余り加えていないことからも、都内では珍しいカントウタンポポの可能性は否定できないとのコメントでした。
自然度が確保されていてきた御蔭でしょうか、郷愁の念を禁じ得ません。
因みにタンポポの語源については、諸説あるようですが、タンポポの茎の両端を裂いて反り返らせる遊びがあり、これが日本伝統の楽器である鼓に似ていることから、鼓を叩く音を表した「タン・ポンポン」という擬音語由来との説が有力とされます。
漢字名「蒲公英」は漢名からで、生薬の名でもあるようです。