『ギフト、そして自分も楽しむ』をモチーフに取材します、rosemary seaです。
今日は人形町甘酒通りの和雑貨・手づくり工房 日本橋ゆうまさんにお伺いしました。
東野圭吾さんの小説「新参者」(テレビドラマ化され阿部寛さん主役で有名ですね)の最重要アイテムの独楽(こま)。この独楽を扱う民芸店「ほおづき屋」のモデルになったお店として知られています。店内でロケも行われたそうです。そのあたりを含め、本日はお店と一体の和雑貨等製造「株式会社祐馬工芸」小田社長にインタビューしました。店の前にいらっしゃるのが小田社長です。因みにお店は小田社長の奥さんが切り盛りしています。
「当店はオリジナルの布ものが主体です。うちの会社は江戸小紋・時代小紋にこだわっています。江戸小紋は言葉の遊び。昔のかたは質素倹約したときに、表は質素でも裏で遊んでいたと云われています。そのなかで、縁起の良い柄だけチョイスして図案化しています。会社の卸しは全国にしていますが、お店では会社の作ったオリジナルを展示販売しています。約30年前に独立し、お店は約25年前からここで営業しています。会社は東京都の経営革新の認証をいただいています。ちょうど2020年の東京オリンピックが決まり、エンブレムまで市松柄となりましたので、和雑貨の需要は高まるだろうと思い申請しました。江戸小紋とは何ぞや、と問い合わせが沸騰しています。ありがたいことです。」
⇒中央左は時代小紋柄メガネケース。おかめ・ひょっとこや『かまわぬ』(鎌・輪・ぬ)、市松模様が描かれています。
中央右は江戸小紋柄メガネケース。縁起の良い柄が市松模様に割り付けされている。ポピュラーな桜・梅に、三角形のうろこ柄は魔よけ、ひょうたんは無病息災、とんぼは勝ち運を呼ぶ、とのこと。
↑ 時代小紋の巾着。おかめ・ひょっとこ、『かまわぬ』、市松模様等が入っています。
⇒ 酒袋(さかぶくろ)のバッグ。布のバッグ。酸化した酒袋を再現した色・形状となっています。
「『新参者』の撮影ロケですか?実を言いますと、ドラマの設定上うちの独楽(下の写真)はうまく回らないといけない。紐と独楽の相性が良いとされるためです。テストのときは阿部寛さんは独楽をうまく回せませんでした。そこで店の前で30分ほど延々とひとりで回す練習をされていました。本番は一発OK。それもカメラが固定された位置にぴたっと!・・・回せなかったときのために裏に隠れていた私たちは感激しました。周りも拍手喝さいです。阿部さんて凄いんだな、役者さんて・・・と思いました。」
「撮影に使われた小道具の『安産と幸せを呼ぶお手犬』(上の写真)はそのときはまだ存在しませんでした。小説では犬のストラップでしたが、『絵にならない』とのことで招き猫の犬バージョン、つまり、猫を犬にして手を上げたものを急きょ制作さんとうちの奥さん(下の右上の写真に阿部さんと写っています)で相談して作りました。ひとりの職人で作っていますので、1日で6個しか作れません。それでも4カ月間で1万個ほど売れました。今も売れ続けています。(と、おっしゃられたちょうどその時、手許のラストワンが売れました)ドラマに育ててもらった商品です。ありがたいです。」
「『麒麟の翼』の映画撮影のときは本当は中井貴一さんの持ち物として時代小紋のメガネケース(上の右下の写真)が使われました。実は原作は柄がこれではなかったのです。『相棒』の鑑識の米沢守(六角精児さん)が時代小紋の柄の財布を出すシーンに既に使われていたもの(上の左下の写真)と同じ柄なので、監督さんが原作と変えました。」
「東野さんには感謝しています。名乗らず来店して、実際にICレコーダーを使ってうちの奥さんに聞き取りをしたそうです。奥さんは話をしたことは憶えているようですが、顔とかは思い出せないようです。・・・放映中に東野さんのお姉さん2人が訪ねてきて、お礼を言って行かれました。・・・1冊の本がこれほど町興しになるとは思いませんでした。そのあとの『麒麟の翼』まで凄いひとがいっぱい来ました。この店の前に開店前から行列ができたのです。」・・・
・・・最近、台湾でも『新参者』が放送されたとのこと。取材中にも台湾からの女性2人の旅行者が来店していました。
← 人気のポーチ。招き猫柄。
私自身、東野圭吾さんのファンです。ほぼ全ての作品を読みました。その上で少々補足をさせてください。
ゆうまさんの独楽と紐は『新参者』の中では最重要アイテムですが、こちらで作られた独楽の紐自体が「凶器」ではありません。ご存知ないかた、お忘れになったかたは是非原作でチェックを!第8章、『民芸品屋の客』です。
日本橋人形町2-32-5
03-3808-1780
営業時間 10:30~18:30 不定休
人形町通りから甘酒横丁に入り明治座に向かったちょうど中ごろの右側にお店はあります。