あさ6時、石川島公園隅田川テラスに聞き慣れない声がどこからか響いています。
よく目を凝らして見ると、川面の中央あたりに黒いシルエットが浮かんでいます。
カワウさんよりも大きくふっくらとしています、、、何でしょう?
朝日の逆光でカメラの望遠を使っても、その正体の判別がつきません。
幸いにも隅田川の流れに乗ってだんだんと近づいて来るのですが、
こちらとある一定の距離になると、また川の真ん中にまで戻って行ってしまいます。
何度かそんな繰り返しの後、カメラが捉えた彼らの正体は!!
ウミネコの若鳥4羽です。
横に向いた時にはっきりとわかる嘴(くちばし)のシルエットが、正にウミネコのそれです。
しかし、その体を覆う羽の色と模様は新種発見か!!と見紛うばかりの成鳥とは別物です。
ウミネコは、漁港でエサとなる魚を拾うことが多く、
漁港近辺で集団で舞飛んでいるイメージです。
(余談ですが、カモメは渡り鳥でしかも冬鳥ですから夏にはいません。
今、夏に目撃するカモメのような鳥は、すべてウミネコです。)
みなさんがご存知のようにミャーミャーと猫に似た鳴き声をするので、
漢字では海猫と書き表しますが、英名は、白い尾に黒帯があるので、Black tailed gull。
成鳥は、こちら。
みなさんのイメージ通りのウミネコさん達ですね。
さて、この若鳥達はどこからやって来たのでしょうか?
ここ関東地方沿岸の繁殖地からでしょうか?定かではありません。
ウミネコは、世界でも日本の沿岸を中心に、
サハリン、千島列島、中国大陸沿岸から台湾までにしかおらず、
世界的には珍しい鳥で
日本での繁殖地の青森県蕪島・岩手県椿島など5ヶ所は天然記念物指定になっています。
繁殖地で孵化して幼鳥から若鳥まで育ったもののみが、夏に各漁港に姿をみせます。
ウミネコは、縄張り意識が非常に高いようで、親鳥は巣に近寄った別の雛も攻撃するし、
雛同士も絶命するまでの傷を負わせるとか。
この隅田川までやって来た若鳥は、
孵化から約2ヶ月生き抜いた精鋭中の精鋭なんだと思われます。
ウミネコは、幼鳥から繁殖する成鳥になるまで3年かかり、
その羽から何年目か識別できるそうです。
上の写真の右上のウミネコさんは、まだ頭部がグレーで羽の一部が茶色なので、
2年目のように見受けれます。
繁殖する成鳥は、来年2月末には繁殖地に帰ってしまいますが、若鳥はそのまま越冬します。
隅田川で一年中観察出来るグループと、繁殖地に戻るグループと分かれる訳ですね。
知れば知るほど奥の深いウミネコさん。
これからは、あなたは何歳?って思いながら観察してみようと思います。