浜離宮庭園は築地市場と隣接していることもあって、日本国内からだけでなく外国からも沢山の観光客が一年を通して訪れます。
現在潮入の池(大泉水)の周りには三つのお茶屋があります。
2020年開催の東京オリンピックを踏まえて、年内には四つ目の御茶屋(鷹の御茶屋)の建設着工が予定されているそうです。
御茶屋とは茶道における茶室とは異なり、賓客を招いて庭園の景観を楽しみながら食事をしたり、和歌を詠むなど優雅な時間を過ごした場所です。
今回は御茶屋の釘隠しに焦点をあててみます。
中島の御茶屋 1953年再建 釘隠し―鶴
松の御茶屋 2010年復元 釘隠し―松ぼっくり・蝉
燕の御茶屋 2015年復元 釘隠し―燕
釘隠しとは、格式のある和風住宅で、柱や釣り束(つりづか)と長押(なげし)が交差する部分に打ちとめた大きい釘の頭を隠すための化粧金具のことです。釘の頭が表面に見えないようにかぶせる家屋内の装飾品です。釘覆いともいわれます。近頃の個人住宅では、使われることはまずありません。
建築様式が改良されて、釘隠しは装飾品になり、いろいろな材料でさまざまな形のものが作られてきました。
材料は木・鉄・銅などが多く使われていますが、美しい色彩の陶器や七宝などを材料とした工芸風のものも作られています。
釘隠しのデザインには、文様・花・葉・果実・動物・昆虫などが多くつかわれるそうです。
桂離宮の水仙の釘隠しは、1975年の年賀切手になりましたので、覚えていらっしゃる方がいらっしゃると思います。
浜離宮庭園の御茶屋の建築様式は数寄屋風書院造りですので、釘隠しは書院造りのものと比べると大きさは8割くらいとのことです。
燕の御茶屋内部
現在、中島の御茶屋は常時中に入れますし、松の御茶屋は毎週木曜日の午後1時から3時まで一般公開(ガイドの説明付き、但し晴天時)されていますので、見ることが出来ます。昨年の3月末に完成した燕の御茶屋は特別な機会(文化財ウィークなど)でないと内部に入れず、外からガラス越しではわかり辛いです。
すべて形の異なった24種の釘隠しのある燕の御茶屋はぜひホームページなどで特別公開の情報を得てご覧ください。