中央区佃、朝6時、小鳥たちのさえずりが賑やかな時間。
ビルの窓々に映る隅田川の水面は、いつものように朝日にまばゆく輝いているのに、
今日は車の行き交う音だけが低く響いています。
何か違うな、、、と思わせる空気が流れたその時、目の前にあらわれた鳥が、
ノスリです。
タカ目タカ科のノスリは、れっきとした猛禽類の一種。
猛禽類は、優れた飛翔力と鋭いくちばしと爪の攻撃力で餌となる獲物を捕らえます。
その能力を利用して飼い慣らした狩りの方法が鷹狩りで、
古来から世界中で行われていました。
タカ・ハヤブサがその代表です。
江戸時代の将軍と鷹狩りのつながりを見てみると、
初代徳川家康は単なる鷹好きの域を越えて、身体を鍛える養生法として捉えていました。
三代家光は、江戸城内に鷹を飼う「鷹坊」を設置するほどで、
在職中に数百回も鷹狩りを行ったとか。
現在の浜離宮恩賜公園は、十一代家斉・十二代家慶の頃には将軍の鷹狩りの場でした。
ところが、タカ科であるノスリは、狩りに使えない役に立たない鷹として、
「まぐそたか」「くそとび」と何とも気の毒な名前で呼ばれていました。
それは、ノスリの餌が小型の野鳥ではなく、主にネズミや蛇だからです。
精悍な顔、たくましい足、10階建てビルの屋上を止まり木にする姿には、
いつの時代も人に飼い慣らされることなく自由であった誇りさえも漂うようです。
そんなノスリの滑空が見れる朝6時の佃上空です。