皆さんは、年に一度の八月に、銀座で「能楽金春祭り」という能のお祭りが開催されているのをご存知でしょうか?
銀座の金春通り近辺で五日間に渡り、能楽講座や親子体験教室など様々なイベントが開催されます。その大トリが、金春通りで行われる路上奉納能です!
夕闇の中で上演される貴重な演目は、まさしく一見の価値あり。ぜひ一度見てみたい...でも事前情報があまりないから腰が引けてしまうな...という方もいらっしゃるかと思います。そんな方のために!今回は、路上奉納能を見学するための一連の流れを簡単にご紹介致します。
金春祭りの会場、金春通りです。場所は以下の通り。駅は新橋が近いです。
会場で能を見学するのは無料ですが、大抵は満員御礼となり会場に入れませんので、事前に係りの方から整理券(座席指定券)をいただきます。整理券は、金春通りにて当日午後四時からお一人様につき一枚配られます。...が、四時に行ってもおそらく手遅れです。二時にはすでに10名ほどの待機列ができています(ただ、この待機列は自主的なもので、運営の方が整備して下さるのは三時以降となります)。
配布が開始される午後四時にはこの行列です!
先のブロックまでずーっと並んでいます。
無事整理券をいただいたら、あとは自由です。午後五時四十五分までに座席に戻っていれば大丈夫です。上演は午後六時から。時間までに座席に戻ってこなかった場合は、指定券は無効となり他の方に譲られます。
会場の近くには豊岩稲荷(とってもオススメ!)などもありますから、時間まで散策するには事欠きません。
ここでポイントです!
整理券は座席指定券となっているので、配布する際に係りの方が調整します。空いている席で好みを聞いて下さる場合もあります。ですが、連番人数などの兼ね合いもありますから、「早く列に並んだ方が良席である」ということは、必ずしも言えないのです。
まず最前列の方は関係者や流派の方が座ります。一般はそれ以降の空いている席に座ることになります。ですから、「先に並んでいた三名様」よりも「後から来たお一人様」の方が良席になる可能性は大いにあるのです。
更に、開演時間になっても空いている席がある場合、座席指定の整理券を持っていない方々が順次通されます。そして、その空いている席というのが「関係者席」だったりするのです。すると、全く並んでいなくてたまたまその場に居合わせた方が最前列へ!!なんていうことも起こり得るのです。万が一そういう残念な事態になってしまっても、怒らない...悲しまない...というメンタルも必要になります(笑)。
座席間の細い通路などにも、整理券を持っていない方がお座布団に座って観劇します。こちらも運良く最前列へ行ける場合があります。逆に言えば、タイミングが合えば整理券のために並ばなくても見学できる可能性があるということです。
さて、設営が済んだ会場です。
奥に作られた御祭壇。
カメラで会場全体を撮るのはちょっと難しく分かりづらいので、こちらの全体図をご覧ください。
このような配置になっておりますので、なんとなくおわかりかと思いますが、一般客席からは基本的にそんなに良く見えません!!金春祭り奉納能は興行ではなく神事で、流派もありますから、これは仕方のないことです。ただ、「思ったより見えない」という程度で、だいたいは見れますし、お練り行列が最初にあるので、そこで演者の方を間近でばっちり見られます!
演目が始まったら撮影は禁止です。注意されてもパシャパシャ撮り続ける方がいますが、神事を許可なく気軽に撮影するのは良くない行為だと思いますよ...。
上演時間は一時間ほど。普段見れない貴重な演目を、専門家の方の解説とともに楽しめます。とにかく雰囲気に圧倒されます。逢魔時、銀座のネオンの灯りの中で古の演目を踏む姿はまさに幽玄です。影と衣摺れの音があっていて、演者さんの姿が見えなかったとしても伝わるものがあるのではないでしょうか。
終演後は見学者のみなさんも御祭壇にお参りです。
結構な苦労をして席をゲットしなければならない...というハードルはありますが、きっと貴重な体験になるのではないかと思います。銀座の柳に思いを馳せて。
素敵なパンフレットもいただけますよ〜。