8月31日から始まっているこの展覧会、土日は混むだろうと月曜日にやってきましたが、会場入り口から二重三重の来場者!そういえば初日から三千家が2日ずつ交代で添釜をされており、今日がその最終日だったと思い当りました。「千家十職」はご説明の必要もないかと思いますが、千利休の時代から千家好みの茶道具、楽焼、茶釜、袋物、塗物などを創作してきた十の職家で数百年以上も続いています。混んでいる会場はいつもの手で「逆回り」をやってみたものの、余り効果なし。長次郎の3点だけを見てもう一度出直すことにして、今日が最後のお茶席へ。こちらもまた並んでいます。何とか次の席へ入れそうで、ほっとしながら、千家十職のビデオをながめ待つこと20分。今日のご担当は武者小路千家です。案内されるとまずはお菓子が「こぼれ萩」、淡いグリーンにひとはけの紅が初秋にぴったりの色合いです。御道具はすべて千家十職の作品、何と数茶碗(主客以外に供される同じ種類の茶碗)もこの席のために当代の永楽家が作ったものだそうです。贅沢。お正客のお茶碗は当代楽吉左衛門さんのもの、お正客が羨ましい。
「千家十職」という言葉は何となく桃山時代には既にあったのかと思い込んでいましたが、三越さんのパンフによれば大正12年に三越大阪店「千家十職茶器陳列会」を開催した時、「千家十職」という言葉を使ったのが最初だそうです。十職のそれぞれの職家は利休の時代からあったもののネーミングとしては意外と新しいというのは驚きです。
「千利休の時代より千家とともに歩み、好みの茶道具を創作し続けた十の職家たち、その数百年もの間、美意識のDNAが受け継がれてきた茶道具約250点を展覧いたします。」(三越さんのパンフより)是非ご覧ください。6階美術画廊では「千家十職新作展」も実施しています。なかなか手は届きませんが素晴らしい作品の数々です。
「千家十職の軌跡展」日本橋三越 新館7階ギャラリー
9月12日まで10時30分~19時(最終日は4時まで)
入場料 一般800円