芸術の秋、墨田区では11月22日にオープン予定の「すみだ北斎美術館」が話題になっています。そこで、北斎とライバルで中央区にも縁のある浮世絵師「歌川広重(1797~1858)」を取り上げてみることにしました。
「中央区ものしり百科」にも記載されている通り、歌川広重は1849年53歳から亡くなるまでの約10年間、大鋸町(おがちょう、現在の京橋)に住んでいました。
さて、歌川広重と聞くと、「東海道五拾三次」(アラフォー以上の方には最近20年振りに復活したお茶漬け海苔のおまけでお馴染み)を思い浮かべる方が多いと思いますが、生涯で最も多く手掛けたのは江戸の名所絵だそうです。
今回は集大成と言われる「名所江戸百景」を見ることにしました。
100枚を超える作品の中には中央区が舞台のものも多数ありますが、その中で、私の近所の佃を題材に1857年に制作された「永代橋佃しま」(左)と「佃しま住吉の祭」(右)をご披露します。
永代橋から眺めた佃の風景は約160年経ってすっかり変わってしまいましたが、3年に一度の住吉さんのお祭りの熱気は現代に引き継がれていると感じています。
歌川広重については書籍等も多数ありますので、秋晴れのの1日、作品の舞台を回ってみるのもおすすめです。
ここで、トリビアを2つ。
・江戸の名所絵は、各地から江戸に来た人々への国元へのお土産として大人気で、値段は蕎麦(いわゆる二八蕎麦)2杯分の32文だったとか。
・歌川広重は、江戸だけで10万人以上の死者が出た安政のコレラの大流行で亡くなったそうです。
(2つとも今年の江戸文化歴史検定の問題でした。)
最後に、先日京橋を歩いていると、老舗の薬屋さんに、歌川広重の「名所江戸百景」内の京橋3部作の写真が掲げられ、「歌川広重が魂を込めて愛した街 京橋を描いた一世一代の傑作です」と言うコメントを見つけました。街歩きって本当に楽しいですね。
(参考図書)
ちいさな美術館 歌川広重〔名所江戸百景〕(青幻舎)
秋葉薬局