夫婦割引で入場した映画館。
ふたりで見たかったのは、「君の名は。」
アニメは久しぶりだね。
ストーリーが進むにつれて、ハンカチで涙を押さえている。
その気配を感じながら、可憐なヒロイン三葉(みつは)の姿が君に重なって、嬉しくなった。
新宿、代々木、信濃町、四ツ谷、東京駅。
ほら、みんな知っている場所じゃないですか。
こんなに鮮やかに街の風景を描いてくれた。
飛騨高山、飛騨古川。
ここも家族で行ったところだよ。
山の深さが、木々の紅葉が、夜の輝きが美しかった。
映画館を出た後も、RADWIMPSの挿入歌のリズムが体を駆け巡っていた。
流行語大賞に選出された「聖地巡礼」は、本来の宗教的な意味合いを離れている。
物語の舞台に身を置き、心のざわめきを確認し、感動を再認識する行動へと変化している。
中央区はテレビ、映画、小説等の舞台として数多く取り上げられてきた。
私が「スラムダンク」以来、全巻揃えているコミック本がある。
羽海野チカ(うみのちか)さんが描く「3月のライオン」である。
「ハチミツとクローバー」のほんわかした画風の作家が、ピーンと張りつめたプロ棋士の世界観をどう表現するのか。
そうした興味から第一巻を手にしたのだが、読み続けてしまった。
中学生で将棋界へプロデビューした桐山零。
彼が活動するエリアは、中央区の様々な場所がモデルとなっている。
将棋会館がある千駄ヶ谷は別格としてわきに置いておこう。
川本家のある三月町は、月島・佃界隈。
中央大橋をはさんだ零のマンションのある六月町は、新川だろうか。
川本家の長女あかりさんが勤めるのは銀座のバー。
揺れ動く登場人物の心の内を、区内各所が効果的に表現している。
川本家のあったかい家族は、佃小橋の赤い欄干に。
隅田川の波のゆらぎ。
強風にあおられるハープ橋の唸り・・・。
10月からNHK総合で土曜の11時台にアニメが放送されている。
(良い子はベッドに入って寝ている時間じゃないですか!)
平成29年3月に前編、4月に後編の2部作で、神木隆之介が桐山零を演じる実写映画の上映も決定している。
さあ、舞台は整った。
「3月のライオン」の聖地巡礼を始めよう。
新たな魅力に、絶対出会うから。