厳冬の浜離宮恩賜庭園。今は冬枯れの時期ですが、潮入の池の畔の一角に、凛として咲く「素心蠟梅(そしんろうばい)」の静謐で穏やかな芳香が漂っています。
ロウバイは中国原産の落葉低木。
名前に梅(バラ科サクラ属)がつきますが、ロウバイ科ロウバイ属で別科の木本。
1~2月、初春のまだ寒さ厳しき頃、他の花に先立って、葉が出る前に黄色の蜜蝋を連想させる光沢のある可憐な花を咲かせます。
ソシンロウバイの花には多数の花被片(花弁と萼が形状的に類似している場合の総称)があり、鮮やかな黄色。
リナロール、ボルネオール、シネオールなどの精油成分由来とされる、上品で清々しい香りで、ニホンスイセンの香りにも似ています。
同じく早春の花のウメよりその芳香は強くはっきりしています。
俯き加減に咲き、和の趣を有し、茶花としても使われています。
尚花木園では、「蠟梅」(外側の花被片は大形で黄色、内側の花被片は小形で暗紫色)が薄甘い芳香を放っています。
花の少ない時期に咲くので珍重されていますが、その馥郁とした香りにはやすらぎを覚えます。