浜離宮恩賜庭園のある場所は、元々は将軍家の鷹狩り場。甲府藩主徳川綱重が兄の4代将軍家綱より拝領して下屋敷として整備したことから歴史が始まり、綱重の子・綱豊が6代将軍家宣になって以降、浜御殿と称される将軍家の別邸となりました。
第11代将軍家斉の時代には、潮入の池の畔に「松の御茶屋」「燕の御茶屋」「鷹の御茶屋」などが建てられるなど、庭園としての機能が強化され、歴史上最も華々しい催しの続いた時代とされます。
御茶屋は、歴代将軍たちが、賓客と庭園の景色を楽しみながら食事をしたり、和歌を詠むなど、優雅な時間を過ごす場で、庭園の景観を構成する上でも重要な存在です。
関東大震災や第二次世界大戦の戦災により、焼失してしまいましたが、近年、これらの建物の再建・復元計画が進められ、昭和58年に「中島の御茶屋」の再建、平成22年に「松の御茶屋」の復元、平成27年に「燕の御茶屋」の復元が完了しました。
昨年12月中旬からは、「鷹の御茶屋」(茅葺きの農家の造りを模し、将軍が鷹狩りをする際の休憩所として使われ、野支度のまま立ち寄れるように広い土間があり、囲炉裏が切ってあったとされます)の復元工事が始まりました。
完成予定は平成30年3月下旬。
多くの歴史資料に基づいて綿密に時代考証を行ない、寸法、材料、工法に至るまで、可能な限り歴史資料通りの再現を目指していると聞きます。
「鷹の御茶屋」が復元され、池・建物・橋などが織りなす大名庭園の往時の景観に更に一歩近づいた姿が今から楽しみです。