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好奇心を刺激する書店 ~LIXILブックギャラリー~

[小江戸板橋] 2017年1月18日 09:00

店内をゆっくりと回りながら、目に留まった本を書架から取り出す。

本の重みを感じながら、パラパラぱらっとページを繰り、文字を目に飛び込ませる。

丁寧に本の縦・横を揃え、書架の元の位置に戻す。

単純なその繰り返しが、ゆったりした心地良さを生み出していく。

目に優しい明かり。

静かに店内を包む音楽。

かすかな香りは、本の印刷臭を押さえてくれる。

 

時間が空いたとき、フラッと入ってみる書店がある。

中央区京橋3-6-18

LIXILブックギャラリーである。

中央通りを挟んで、東京スクエアガーデンの向かい側に位置する。

東京メトロ銀座線の2番出口から徒歩1分。

JRを利用する私は、東京駅八重洲南からぶらぶら数分かけて歩く。

LIXIL(リクシル)は、建築材料・住宅設備機器の業界大手企業である。

その企業名を冠する書店であるならば、ガチガチの建築・設備系の専門書が並ぶ、工学系大学のミニ図書館をイメージしていた。

初めて足を踏み入れた時、そのイメージは気持ち良く裏切られた。

「ほーっ。こういう本の揃え方をするのですか。」

もちろん建築系の書籍は広いスペースを埋めている。

しかしそれは、工学系の人間が傍らに置きたくなるような、ストレートな建築設計や構造計算に関するものではなく、工学部の図書館の匂いとは距離のあるレイアウトだった。

主軸に建物の構成要素となるような、木やタイルや金属などの素材、照明に関する考察、インテリアモデルの数々を揃えている。

それにとどまらず、そこここのコーナーに、食生活に関するシリーズ、身の回り品のデザイン、伝統や地域文化に関するものや、動物の生態、星座の運行、建物遺産めぐりなどが、コンパクトにかつキラキラ個性を発しながら展示されている。

ブックギャラリーのコンセプトは、「住環境を豊かにする本」。

この括りでまとめると、まったりした猫との生活を描いた本も、対象素材になってしまうのだろう。

凝り固まった頭の中を、スーッとマッサージされたような気分。

書店運営者の心意気が、真っすぐに伝わってきた。

 

LIXILギャラリーは、ステーキ屋さんをはさんで隣が入口になっている。

「平面に表現されている本を、立体的に展示するとこうなるんだよ。」

そんなささやきが聞こえるようなギャラリーが、一・二階を占めている。

本の魔法にかかったまま、ギャラリーへも足を向けてみよう。

特派員のジミニー☆クリケットさんが12月に紹介されている、「WASHI 紙のみぞ知る用と美 展」が、平成29年2月25日までの予定で行われている。

和紙で作られた衣服「紙子」など、今では日常生活で目にする機会はほとんどない。

ましてや、紙製の壺や瓢箪などは、この機を逃さず実物を見ておきたいものだ。

 

ギャラリーを後にして、再び先ほどのブックギャラリーに戻る。

紙の歴史や製造方法、用途、デザインまで、新たな気づきのヒントとなる書籍が見つかるかもしれない。

展示物への理解が進み、少し豊かな気分になってきた。