「白木屋傳兵衛」は江戸時代後期からほうきをつくり続けてきた「江戸箒」の老舗です。
京橋中央通りから現在工事中の警察博物館とLIXIL:GINZAの間の道を進んだ左手にある
お店の中には美しいほうきがずらり。そんな「白木屋傳兵衛」の七代目社長 中村悟さん
にお話を伺いました。
コットン:「白木屋」(しらきや)という屋号は名水白木屋などでも耳にした記憶がありますが
何か関係はありますか?
中村社長:特に関係はありません。白木(しらき)には上等なものという意味があり、
江戸時代にはよく屋号に使われていたようです。
:確かにこちらのお店のほうきには、芸術作品に近い美しさがありますね。
「江戸箒」はホウキモロコシから作られているそうですが、関西でよく使われいるシュロの
ほうきとはどう違うのですか?
ホウキモロコシ シュロ
:シュロのほうきは買ってから1年位は樹脂が茶色い粉となって出るという欠点があるの
です。 関西ではシュロのほうきを板の間で1~2年使い込んでから畳に下ろすといった
時間的に緩やかな使い方ができました。
しかし、江戸では畳が急速に普及したことに加え、火事も多かったのでゆっくりと時間を
かけて使うシュロのほうきは適さなかったのです。
:なるほど。ホウキモロコシのほうきは江戸っ子の暮らしに最適だったのですね。
:ホウキモロコシのほうきは現代の暮らしの中でも十分活躍しています。
柔らかく弾力のある草はカーペットの中のホコリをかき出すことが出来ます。
:でも掃くとホコリが舞い上がるのではありませんか?
:掃き方が大切なのです。ほうきを持ったら外側から内側に自分の前に集める
ように掃きます。この時自分の前でほうきを止めるのがコツです。
そうすればホコリは舞い上がりません。
:ほうきの先が斜めにカットされている物と、真っすぐな物がありますが、
この違いはなぜですか?
:斜めにカットされている物は片手用。真っすぐな物は両手用です。
片手用 両手用
:ほうきに付いている紐の色には何か決まりがあるのですか?
:紐の色はグレードを表しています。良いほうきは7~10年くらい保ちますが、
次に買い替える時には紐の色を言っていただけば同じ弾力と軽さの商品を買うことが
出来るのです。
:実際に「江戸箒」で掃いてみたいのですが?
:どうぞ。違いがわかると思いますよ。
:確かに違いますね。同じ「江戸箒」でも穴の開いている方が断然軽いです
:火事の多い江戸の町で、江戸っ子はいつなくなるかもしれない「江戸箒」に驚くほど
手間暇をかけて作っていました。はかない物にお金を掛けることを粋としていた
のです。
:「江戸箒」は江戸っ子の粋から生まれた産物なのですね。
「江戸箒(ほうき)老舗」 白木屋傳兵衛
東京都中央区京橋3-9-8 白伝ビル1F
TEL 03(3563)1771 FAX 03(3562)5516