七十二候「草木萌動(そうもくめばえいずる)」。
着々と長くなる、暖かい陽射しが大地に降り注ぎ、地面や木々の枝々から萌葱色の小さな命が間もなく芽吹き始めます。
春先の緑地・公園散策の楽しみのひとつが、冬芽・芽吹き・"葉痕" の観察です。
冬芽の形は樹木により多彩で、更に、落葉した葉の柄の痕跡 "葉痕" は個性的で、剽軽な人や動物の面白顔が見つかったりして興味が尽きません。
晴海トリトンスクエアの「花のテラス」でまず人目を引くのがアジサイの冬芽・"葉痕" 。
薄褐色の枝のあちこちから濃い紫色の冬芽、蝋燭の炎のような形をした頂芽が目立ちます。
"葉痕" は、根から吸収した水分の通路の木部と、養分の通路の師部からなる維管束の跡が斑点のように残ったもので、アジサイの場合、維管束の跡は3つ、倒松形~V字形で、表情豊かで、爺顔~赤ん坊顔まで様々に譬えられます。
存在感のあるトチノキの冬芽は光沢のある粘液で覆われています。
オオシマザクラに比べ、ソメイソシノの冬芽は毛深い印象です。
アメリカザイフリボクは芽鱗がやや開き気味で白い毛がのぞいています。
タムシバ、シデコブシの冬芽はフワフワした綿毛に覆われ温もりを感じます。
春の兆しは確実な気配へと変わりつつあります。
左から、トチノキ、ユリノキ、ハゼノキ、ハナノキ、カエデ
左から、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、アメリカザイフリボク、タムシバ、シデコブシ