三月に入り開花予想も聞かれるようになりましたが、まだまだ寒い日が続いております。今日は開幕5日目、先に昼の部を見ることに。16年ぶり(その前は43年前)の上演となる真山青果の「明君行状記」は江戸初期の備前岡山藩主池田光政の話です。熊沢蕃山を招聘し、全国初の藩校、花畑教場、庶民も対象にした最古の閑谷学校を開いた名君としてご存知の方も多いことでしょう。その明君ぶりに疑いを抱いた御納戸役が一命を賭して光政の本心を探ろうとするセリフの応酬が聞かせどころ。光政に梅玉、御納戸役の青地善左衛門に亀三郎の組み合わせです。
2幕目は仁左衛門さん4度目の「碇知盛」。船頭姿の渡海屋主人で颯爽と花道に登場すると余りのカッコよさに客席からため息。一転して知盛となり白糸縅の鎧姿で現れ、幕切れの碇を血まみれの体に巻き付けて海中に身を投げるまで息をつかせません。安徳天皇は1月に襲名した右近君。品のいい可愛い顔がぴったりです。幕開けの相模五郎たちの「魚尽くし」のせりふの掛け合いも笑いを呼んでいます。
昼の部最後は「どんつく」で十世三津五郎三回忌追善で踊りの名手だった三津五郎さんの得意とされた演目を息子の巳之助さんが踊ります。周りを菊五郎、海老蔵、松緑、魁春さんたちが固める贅沢な一幕です。ロビーに三津五郎さんの遺影が飾られていて「あれからそんなに時間がたったのか」という会話があちこちから聞こえてきました。幕間は1階の檜で珈琲とサンドイッチで軽く済ませました。階ごとに食事処があるのでお腹とお財布の具合で選べるところが歌舞伎座の嬉しいところです。
三月大歌舞伎 27日千穐楽
チケットのお問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489 10時から18時