東京都中央区は23区の中でも面積の広さは下から2番目の22位(最小は台東区)。こんな小さな地域ですが、区内を流れる隅田川や神田川、日本橋川、亀島川、運河などに架かる橋をはじめ、埋め立てられて首都高速や区道などになったところに残る橋、陸橋などを含め、橋の数はなんと70基以上あります。
私は、子供のころからなぜか「橋梁」が大好きで、どこに行っても橋があると渡りたくて我慢できなくなります。中学生のときの夏休みの研究課題は埼玉県を流れる荒川とその支流の「橋調べ」でしたし、サウジアラビアの友人と作った会社の名前も「○○○ブリッジ」。数年前、過去や未来の視える人に私の祖先の職業をみてもらったら、なんと「橋を設計して架ける職人」だと言われました。
さて、閑話休題。橋の名前ですが、多くの場合、橋梁の親柱の一方は漢字表記、もう一方にはかな表記がされています。日本橋の場合、「日本橋」と「にほんはし」。あれ、「にほんばし」ではなく「にほんはし」。濁音ではありません。他の橋に行ってみると、江戸橋は「えどはし」、鎧橋は「よろいはし」です。今も残っている京橋の親柱には「きやうはし」、海運橋には「かいうんはし」とあります。新大橋や、晴海大橋はわかります。
これには理由がありました。その橋を架けた人が、下を流れる川の流れがいつまでも清らかなまま濁らないようにとの人々の願いや祈りをこめてかな文字を彫ったのだそうです。もちろん、「茅場橋」「相生橋」など、架け替えられたり新しく架けられた橋には濁音表記もありますが、調べてみると、昔の橋はすべて清音表記だったそうです。
橋の名一つにも人々の祈りや願いが込められていたのですね。