中央区立郷土天文館(タイムドーム明石)で、企画展「共に見よう・共に知ろう~私たちの宝物~ 新規登録区民文化財展2017」が4月29日(祝・土)からはじまった。2017年に新しく区民文化財に登録された、「住吉御社再建仕法書(版木)」と「長谷川時雨関連資料」の2件が展示されている。会期は6月25日(日)まで、月曜休館、入場無料。中央区HP「区のお知らせ中央」 こちら>>
ひとつ目の文化財は、「佃島住吉御社再建仕法書(しほうがき)」版木。天保6年(1835)に彫られた3枚の版木で、火災で焼失した住吉神社再建のための奉納金を募る文書の原板である。住吉神社はこの時期、文政12年(1829)と天保5年(1834)の二度、大火に遭っている。自力再建が難しくなり、十組問屋の白木屋らが世話人となって問屋仲間が支援に乗り出した。版木には「5年間にわたって持株に応じて日掛銭を集める」と記されているという。
2つ目の文化財は「長谷川時雨関連資料」で、女流作家・長谷川時雨の著作書籍・雑誌、原稿、写真など一連の資料が対象である。時雨は明治12年(1879)、日本橋通油町(現日本橋大伝馬町三丁目)で生まれた。明治38年(1905)、脚本『海潮音』が坪内逍遥の選で特選になって脚光を浴びた以後、女性初の歌舞伎脚本家として地位を築いた。主宰した雑誌『女人芸術』からは林芙美子『放浪記』が誕生している。『旧聞日本橋』は生まれ育った日本橋界隈の人々の暮らしを生き生きと描き出した随筆の傑作として、今に伝えられている。
今回の企画展は、ことし新たに登録された区民文化財に焦点を当てた、これまでにない展覧会で、中央区固有の身近で、貴重な文化財に触れられる機会となっている。@巻渕彰