左團次さんの「星影土右衛門」が本花道に、仁左衛門さんの「御所五郎蔵」が仮花道にそれぞれ手下を引き連れて登場すると余りのカッコよさに場内はわっと盛り上がり、両花道越しの台詞の応酬に客席もすっかり舞台の一部に。これぞ「歌舞伎」。今回の「曽我綉侠御所染」(御所五郎蔵)は「五条坂仲之町の場」「甲屋奥座敷の場」「廓内夜更けの場」の上演です。サディスチックな「時鳥殺し」と大詰の五郎蔵の切腹の場はなし。皐月を演じる雀右衛門さんに合わせて吉原道中の提灯の紋も京屋結びになっています。ちょっと気になった台詞があったので平成27年と15年、最近2回の上演台本を見せてもらい、黙阿弥全集もついでにみると役者さんや役者の組み合わせによって少しずつ台詞が変わるのを改めて認識しました。若い頃には只々筋の面白さと役者さんの姿だけを見ていたのですが、年齢と共に漸く細部にも少し関心が向くようになってきました。来年1月の親子孫3代同時襲名まで半年になった幸四郎さんが「鎌倉三代記」と長谷川伸の新歌舞伎「一本刀土俵入」に出演。「一本刀」のお蔦は猿之助さんです。
幸四郎さん扮する一文無しの取的・駒形茂兵衛が10年後に渡世人になり恩を受けたお蔦親子を助けるというよく知られた芝居ですが、情けない(本当にみすぼらしい姿で、幸四郎さんとは見えません)取的姿だった茂兵衛が颯爽とした渡世人として現れるとあまりの変化に驚かされます。
お昼の部は「名月八幡祭」(縮屋新助)「浮世風呂」「御所桜堀川夜討」、歌舞伎ですっきり気分になりませんか。
千穐楽は26日 お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10時~18時)