いよーっ、シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャン、シャン。
頭の拍子木に合わせて、一本締めが行われると、
ピーンと緊張感が周囲を包みます。
いよいよ、大獅子の繰り出しです。
築地波除稲荷神社の夏越し大祭、つきじ獅子祭。
獅子頭の渡御際は、6月11日日曜日に行われました。
青々とした枝垂れ銀杏を背景に、鳥居の下を進発する獅子頭は、勇壮そのもの。
錦の幟も見えています。
「疫病除 為朝公」の幟も高く翻ります。
先頭を進むのは、元宮の高張提灯。
三方に犬、猿、雉の幕を掛けた桃太郎人形の囃子屋台では、緩急をつけた築地囃子が奏でられます。
弁財天お歯黒獅子は、女性が担ぎ手です。
ソレソレソレ。手拍子に合わせて進みます。
手ぬぐい鉢巻、法被、地下足袋と担ぎ手ファッションに身を包んだ女の子が、ぴょんぴょん飛び跳ねています。
この娘は十数年後には、きっと担ぎ棒の先頭にしがみついて跳ねているでしょうね。
そして、厄除天井大獅子の進行です。
オイッサ、ヨイサ、オイッサ、ヨイサ。
笛と手拍子の勢いをうけて、担ぎ棒を含めると2トン近い重量が動きます。
見物人の肩にも、その重さが感じられるくらい。
いつも神社の拝殿に向かい右手の獅子殿に鎮まっている大獅子が、揃いの祭り半纏に身を固めた男たちのうねりに乗って、通りを揺れていきます。
前後、左右、上下に振れると、歓声がグォッと沸き起こります。
東京のど真ん中に位置する中央区。
意外にも四季折々に、祭りや年中行事が数多く伝わっています。
中でも「つきじ獅子祭」は、区民が誇りに思い、催行を楽しみにしている行事のひとつです。
理由をいくつか挙げてみましょう。
区内に鎮座する、築地・波除神社のお祭りであること。
災難除け、商売繁盛、工事安全などの御神徳があらたかであること。
獅子祭は、江戸時代から続く行事であること。
巨大な獅子頭を担ぎあげて、築地界隈を巡行すること。
地元築地をはじめとする担ぎ手の熱気と相まって、獅子の威容が益々高まり、見物する人々にも伝播して気分が高揚すること。
大祭期間中、神社境内の神輿庫は開かれており、江戸神輿の最高峰といわれる千貫神輿を間近に見ることができました。
築地場外で買い物、食べ歩きをしていた海外からの観光客も、しきりにカメラを向けて異国の祭りを楽しんでいました。
担ぎ手さえも、外国の方が何名もいましたよ。
梅雨に入った東京の雨雲を突き破り、陽射しを呼び込む勢いに満ちた光景でした。