毎年7月13日から15日まで3日間にわたって、佃1丁目の「渡場通り」の中央に組まれた櫓の周りで開催される、恒例の「佃島の盆踊り」。
佃地区に古くから伝わる海村郷土芸能のひとつです。
築地の地に、現在の築地本願寺の再建工事完成年の盂蘭盆会で盆踊りが行なわれたのがその起源とする伝承が有力とされます。
現在、盆踊りと云えば、宗教的意味合いは薄れ、地域のイベントとして、近代の盆唄に合わせた振り付けで、賑やかで威勢のよい '納涼盆踊り大会' が主流ですが、今日まで伝承されてきた佃島の盆踊りは、櫓に飾られた提灯の薄明りの下、単調な太鼓のリズムと哀調を帯びた口説き唄に合わせ、行きつ戻りつを繰り返す、ゆったりとした調子の静かな踊りが特徴で、哀愁と無常感とが漂ってきます。
周辺の家々の軒先にも提灯が飾られ、加えて、隅田川寄りの「佃まちかど展示館」前に設えられた「無縁仏(精霊棚)」の所在は、脈々と継承されてきた民間信仰の '慰霊' '供養' の心に改めて想いが及びます。
尚最終日には、踊り手が各自の趣向を凝らした仮装姿での踊りが見られます。
今年もまた、音頭をとる、飯田恒雄氏と、佃島盆踊保存会代表の山田和治氏の味わいのある声色と、踊り手が返す「コラ、ヤートセー、ヨーイヤナ、コラショイ」との囃子詞が響きます。