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元月島第一小学校跡地にある25mプールを畑にした「月一園」で無農薬野菜を大収穫

[桜やよい] 2017年8月 5日 12:00

23区の中で、唯一中央区内の月島地区に25mプールの広さの畑を持っている学校があることをご存じでしょうか?それは、月島第一小学校・幼稚園です。元月島第一小学校・幼稚園跡地(中央区月島4-2-1、学校・幼稚園から徒歩5分の場所にある)に、平成9年から月島第一公園内の小学校25mプールを農園として活用しています。児童・園児が毎年沢山の「無農薬月一園産野菜」を収穫したり、食べたりして教育活動に活かしていらっしゃいます。

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4月に「月一園」に伺うと菜の花が咲く畑で、冨川重信さんがにこやかに笑っていらっしゃいました。「月一園」の近くにお住いの冨川さん(昭和5年8月20日生まれで、もうすぐ87歳)が、平成9年からずっと20年間も毎日畑を2回以上も見回って畑の世話をしてくださっています。今日は、これから5月に小学校の児童や幼稚園児が畑に種や苗を植えに来るので、その準備をしているそうです。

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「月一園」は、この猛暑の時期に朝夕畑の水やりを冨川さんがやってくださっているお陰で、5月に植えたキュウリの苗が7月には大人の背丈以上に勢いよく育っていました。幼稚園5歳児の収穫を取材させていただきました。6月は玉葱、ジャガイモ、キュウリ、ミニトマト、ピーマン等を収穫したそうです。今日は人参の収穫です。どんな人参が出てくるかが楽しみです。松原淳子園長先生に「月一園」の魅力をお聞きすると、「日々植物が成長変化する様子を見て命を感じたり、葉や実に触れ感触を味わったりすることを体験しています。お店の野菜と違う様々な形や大きさの野菜に驚く子供たちを見ていますと、どの子も五感が刺激されて豊かな感性が育まれています。」とおっしゃっていました。3年間の栽培計画があり、主に5歳児が「月一園」を活用しているそうで、3歳児は5歳児が植えたサツマイモを10月に保護者と一緒に掘ることから始まり、4歳児の2月に種ジャガイモを植えます。他の野菜は、身近にある園庭のプランターでも栽培しているそうです。

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5月に苗を植えたサツマイモを担任の大川綾子先生が「こんなにサツマイモの葉っぱとツルが伸びてきているね」と園児に見せています。「青いトマト、早く赤くならないかな~。まだ食べられないよね。あと、もう少しだね」「大きいキュウリ、こんなところに見つけたよ」

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 「ピーマン、大きくなってきている。まだ、もうちょっとかな。」「赤ちゃんトウモロコシだ」背丈ほどの野菜の中に入っていく園児たちは探険隊の気分です。

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「人参、掘れた~。僕も。私も。見てみて!」と大興奮です。沢山採れた人参を幼稚園まで一人一人がスパー袋に入れて運びました。「人参の数を並べて数えよう」吉澤恵美先生が「どの人参が大きいかな?」 みんなで長さや太さを見比べて、人参チャンピオンを選びました。

 

7月13日は、5歳児が大活躍のカレーパーティーの日でした。

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包丁を持つ反対の手を「猫の手」にして人参・ジャガイモ・玉ねぎを、園児たちは慎重に切っています。恐々切っている様子ではないので園児たちに聞いてみると、家でも包丁を使って野菜を切る練習をしてきたとのことでした。納得です。小学校家庭科室でお母さん方がカレーを作っているところを見学に行き、グツグツ煮える様子やカレールーの匂いに5歳児たちも嬉しそうです。3歳児の保育室にカレーのお鍋を届け、5歳児たちは、自分たちが育てた野菜を包丁で切ったことを自慢げに伝えていました。

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3歳児の担任渡邉大二郎先生が、お弁当箱に半分入ったご飯の上にカレーをかけていきます。カレーが大好きだという子供たち。アッという間にペロリと完食、お弁当箱は空になりました。苦手な野菜がカレーに入っていても「美味しい。カレー大好き!」の連呼です。遊戯室では、「月一園」をいつもお世話をしてくださっている冨川さんと生田真弓さん(「月一園協力隊」チーフ)を「カレーパーティー」に招いて、4・5歳児がお二人に聞きたいことやお世話をしてくださっている感謝の気持ちを伝えました。冨川さんは「子供たちが収穫している時の笑顔を見るのが一番嬉しい。それが畑の世話をするエネルギーとなっている」とおっしゃっていました。4・5歳児と一緒に冨川さんもカレーをいただきながら、子供たちとの会話が弾んでいました。

 

小学校の「月一園」は、学年毎に栽培物を決め、6年間の栽培計画に基づいて有効活用をしています。冨川さんとともに「月一園協力隊」の保護者もこの教育活動を支えています。

 

「月一園」や冨川さんに対しての想いを三木滋校長先生に伺うと「冨川さんの『月一園』に対する20年の功績は大きく、昨年は中央区からも文化・生涯学習関係者功労者として表彰を受けられました。月島第一小学校としても冨川さんのお蔭で『月一園』を教育活動に活用できていることに真に感謝をしております」 幼稚園・小学校それぞれの発達段階で、栽培・食育活動が子供たちの成長のプラスになっていることを改めて確認することがができました。

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小学校3年生の収穫を取材させていただきました。児童たちは、キュウリ畑で背丈以上の葉っぱをかき分けながら、「わっ、大きいキュウリ見つけた!」「ここにもある!」と一人1本を収穫。畑の作物の成長を促すためには、雑草取りが一番大変な作業です。児童は思い思いの場所に行って雑草取り競争です。山地由希子先生が「雑草見せて!」と声を掛けると、一斉にクラス全員が「オー!」と声を上げ、雑草を持った手を高く差し上げました。

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雑草取りのチャンピオンを決めるときは、児童たちの眼差しは真剣です。チャンピオンをたたえる拍手の後、リベンジを誓って「次の雑草取りは頑張るぞ!」の声も聞かれました。生田さんから、ミニトマトを、あーんと開けた口に入れてもらっています。「美味しい。トマト大好き。甘い~」(雑草取りで手が汚れていたので、大サービスだったようです。でも、たまにはこういうこともアリですね。)いつも畑では、冨川さんにお礼と感謝の気持ちを伝えています。

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これは、1年生の収穫です。ジャングルのようなキュウリ畑に入っていくのは、スリルがあります。「わっ、大きいキュウリ見つけた!」「わっ、曲がったキュウリがある!」「キュウリのイガイガが痛い!」それを聞いて、冨川さんは、「トゲがあるほど新鮮なんだよ」と。「ピーマン、好きだよ」という1年生に、「ナスもこんなに実がなっているよ」と冨川さん。なぜか、1年生はピーマンを収穫している児童の方がが多いように感じました。ナスは苦手なのかな~。

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最後に生田さんから、キュウリの「葉っぱクイズ」が出されました。「元気な葉っぱ」「病気の葉っぱ」「萎れた葉っぱ」はどれ?1年生は全員この問題に正解。病気の原因はうどん粉病にかかり、そして萎れてしまうことを学習していました。1年生は、担任の廣瀬綾香先生と「冨川さん、いつもありがとうございます。」とお礼を言って、収穫物を嬉しそうに持って帰りました。

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月島第一公園で夏休みが始まった7月21日からラジオ体操が開始しました。ラジオ体操後、「月一園協力者」の保護者が当番制で「月一園」の鍵を開けてくれ、児童・園児と一緒に水やりや雑草取り、野菜の収穫をします。

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ピーマンが赤くなっているのに、児童たちは大喜び、大興奮です。「どうして赤くなるのかな~」「パプリカだよ。家に帰って調べようかな」ピーマンも収穫した後、ほっておくと完熟熟して赤くなります。パプリカとは違いますね。「月一園」での発見は、夏休みに入っての楽しみの一つです。

 

「月一園」には、害虫・病気だけではなく、ねずみやカラス・野鳥などの被害もあります。その都度「月一園協力隊」と知恵を出し合って対策を立てながら、冨川さんが野菜を守っていらっしゃいます。子どもたちの笑顔を見ることが冨川さんのエネルギーとなり、また子供たちも冨川さんに「ありがとう」の気持ちを伝え合うことで、感謝の心が育っています。本当に互恵性効果のバランスがよく、「月一園」があることで冨川さんと児童・園児の心が生涯に亘って繋がっていくと特派員は信じています。

(月島第一小学校・幼稚園の許可を得て、撮影させていただいたおります)