幕開きで歌舞伎座の客席がどよめいたあの衝撃的だった「NINAGAWA十二夜」から12年、菊之助の新作歌舞伎第2弾が始まりました。「マハーバーラタ」は「ラーマーヤナ」と並ぶインドの2大叙事詩という知識しかないので、どんな舞台になるのかとても楽しみに、また理解できるのかと少々不安に待っていました。幕が開くと忠臣蔵の大序のようにインドの神々は板付きで竹本に合わせてひとりずつ顔を上げていきます。シバ神、梵天、太陽神などの神々の衣裳も豪華。「難解かも」という心配ご無用、あっという間に舞台に引き込まれます。
粗筋は、神々が争いに満ちた人間界に母を同じくし、父が太陽神と帝釈天である二人の兄弟を送り出し「慈愛」と「力」を体現する二人に争いを止めようとさせます。太陽神の子が慈愛に満ちた迦楼奈(かるな)、帝釈天は無敵の子阿龍樹雷(あるじゅら)。慈愛と力そのどちらが争いを止めるのか迦楼奈は自らの使命に迷い翻弄されながらついには宿敵、阿龍樹雷との最後の戦いへと向かいます。結末は如何に?
長大な原作の中から迦楼奈中心の脚本にしたのは現代演劇の作家青木豪、演出は宮城聰です。菊之助さん演じる主人公「迦楼奈」松也さんの「阿龍樹雷」珍しく七之助さんは敵役の「鶴妖朶」(つるようだ)王女を演じています。神々に菊五郎さん左團次さんと豪華な配役。
今年は日印友好交流年記念に当たり、その特別企画とのこと。売店で「オリジナル・マサラチャイ」(8包500円)を見つけました。お芝居の余韻に浸りながらいただくことにします。
10月の真夏日になった暑い日でしたが客席もカーテンコールの熱い拍手が鳴りやみませんでした。
夜の部は玉三郎さんが淀君を初役で演じるのが話題の「沓手鳥孤城落月」、「漢人韓文手管始」「秋の色種」と見逃せません。国立は仁左衛門さんの「霊験亀山鉾」、新橋演舞場は猿之助さんの怪我で吃驚しましたが代役を右近さんが演じる「ワンピース」と歌舞伎ファンには忙しい楽しみのお財布には痛い10月です。
「芸術祭十月歌舞伎」千穐楽は25日 チケットのお問い合わせはチケットホン松竹「0570-000-489 10時~18時