十月歌舞伎公演千穐楽から一日置いた27日「河東節開曲三百年記念演奏会」が昼夜歌舞伎座で行われました。
「河東節」は市川宗家が歌舞伎十八番の「助六所縁江戸桜」を上演する時、必ず御簾の内に素人の旦那衆「河東節御連中」が出演することで知られていますが、この形式が定着したのは二代目團十郎が「助六」を初演した江戸時代半ば以来とのこと。初代十寸見河東(ますみかとう)が江戸浄瑠璃の半太夫節から分かれ独立創始したのは享保2年(1717年)、今年で丁度300年になるのを記念しての催しです。初代の十寸見河東は日本橋の魚商、天満屋の子で江戸半太夫門下で頭角を現し、独立したものです。(浄瑠璃に熱中してお店をつぶしたとか・・・)
記念の会で一日だけの公演とあって客席はきれいどころのお姐さん方、俳優さんたちのお顔もちらほら、来場者にも華やかな訪問着姿が多く目の保養。昼の部は300年前に独立した時演奏されたという「松の内」で幕が開きます。江戸時代から河東節とつながりの深い市川宗家の海老蔵さんの「口上」のあとは2人のお子さん、麗禾ちゃんと勸玄くんの舞踊「海老」、登場しただけで大拍手。後見の海老蔵さんの心配そうな顔が微笑ましい。そして「松廼寿三番叟」は美術が何と吉田五十八、翁が菊五郎、千歳が菊之助、三番叟が海老蔵という豪華版。昼の部の最後は舞踊「助六所縁江戸桜」で海老蔵さんです。いつもの舞台では吉原の三浦屋の格子の内側で客席からはお顔の見えない「河東節御連中」が舞台に70名近くずらりと黒紋付き姿で並んでいるのは壮観です。プログラムをよく見ると昼の部の出演は全員女性、夜の部の浄瑠璃方は全員男性になっていました。日本橋や銀座のご主人も中にいらっしゃるのかも知れませんね。