観世会定期能の一月公演は年の初めを寿ぐ「翁」で始まります。ご存知の通り「翁」は「式三番」ともいわれ能のルーツである祈祷や儀式の要素が強いもので、正月や劇場の杮落しなど改まった場で上演されることが多いものです。翁、千歳、三番叟が天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を祈り舞います。お能好きの友人たちはこのちょっとした緊張感と清々しさが何とも言えないと話しています。続いて「呉服」(くれは)が上演されたので2時間40分、結構草臥れました。続いて狂言「宝の槌」、太郎冠者が太鼓の撥を打ち出の小槌とだまされて売りつけられる話で少しリラックスしたあと、仕舞「屋島」「高砂」「羽衣」など9曲を山階弥右ヱ門、観世銕之丞、梅若玄祥氏など観世会の重鎮が舞います。隣の方に「仕舞が多いですね」と話すと「これは東京観世会の年賀挨拶替わりのものなのです」とのこと。成程。
最後に祝言能「岩船」で、終了したのは5時40分。休憩は20分だったので4時間20分座り続けていたことになります。お隣の方は仙台からお見えで年間40回は観劇やコンサートで上京されるとか、「松濤から銀座になって本当に便利。80歳になりました」と仰る姿は仕舞の効果か背筋は伸びて、頑張らねばと思わされました。
能楽堂では「観世会能楽講座」を定期的に開いています。
第2回目は2月6日(火)18:30~
一部「姨捨」の魅力、二部 観世宗家による実演。講師:観世清和、松岡心平、ゲストは内田樹さんです。入場料一般1500円
観世荒磯能事前講座 1月25日(木)18時~ 入場料500円
お問い合わせ:申し込み 観世能楽堂 6274-6579