こんにちは! きょうは、日本橋室町に残る路地をご紹介したいと思います。
日本橋室町というと、「中央通り」のイメージが強いかと思います。
江戸時代からの江戸・東京を代表するメインストリートで、
日本橋三越本店や三井本館(いずれも国指定重要文化財)、さまざまな老舗、
最近では地方のアンテナショップの数々も見どころです。
この「中央通り」から東側に入っていくと、
日本橋室町一丁目から日本橋本町一丁目にかけて、昔からの路地が多く残っています。
(この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報を使用した。(承認番号 平30情使、 第225号))
上の地図で赤く着色した道が、路地になります。
中央区の多くの地域では関東大震災後の復興事業によって広幅員の街路や区画が整備され、それが現在の街のベースとなっていますが、
その街区の中が小さな家屋で構成される場合、敷地の中に細い路地(私道)が引き込まれそれぞれへのアクセス路となっていたようです。
江戸の町人地の都市構造は、表通りに面したお店の間から路地に入って裏長屋につながるという形だったようですが、
ある意味、同じ構造が震災復興の近代化の中でも引き継がれているのではないでしょうか。
そしてその後、戦災、高度経済成長、近年の都市再生など様々な状況の変化を受けつつも、今も姿をとどめているのです。
室町の路地のうちの1つです。中央通りとはうってかわって、生活感のある街並みになっています。
表通り沿いがビルに建て替わっているところでは、暗がりの中でまるで探検しているかのような気分です。
軒先に植物が置かれているところも多く、目を楽しませてくれます。
少しマニアックな視点ですが...
日本橋周辺の路地の特徴として、「排水溝が道の真ん中にある」ことが挙げられます。
一般的な道路では、車両の通行を考慮して、道の両脇に排水溝が設けられますが、
ここでは道の真ん中がくぼみになり、水が集まるようになっています。
江戸では、当時から雨水や生活排水を流す下水道システムが整っていたといわれていて、
長屋の間の路地ではその水路が道の真ん中に流れていたそうです。
もしかしたら、日本橋の路地の排水溝は江戸時代の下水道の名残とも言えるかもしれません。
多くの路地沿いでは、飲食店を中心にさまざまな店舗が営業されています。
隠れた名店を探す楽しみがありますね。
中には写真の「金子半之助」さんのように、いつも行列が絶えないお店もあります。
今回記事を書くにあたり、室町1丁目~本町1丁目の路地を一通り歩きましたが、
路地それぞれが違った雰囲気を持っているのも魅力で、
日本橋をより一層深く楽しむことができました
参考資料:
・小林一郎(2014)「横丁と路地を歩く」