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湊のお地蔵さま 汐見地蔵尊

[湊っ子ちゃん] 2018年6月13日 12:00

湊3丁目の隅田川沿いに、汐見地蔵尊があります。
 
siomi03.jpg湊町第一児童遊園の片隅にある、4畳ほどの小さな朱いお堂は、側面をトタン張りされた民家風の建物です。あふれるばかりの鉢植えに囲まれ、いつもきれいにお手入れされています。
先日6月2日、平成30年汐見地蔵尊供養祭が斎行されました。
 
このお地蔵様には、ある言い伝えがあります。
明治時代、この辺りから"水中から出たい"という声がきこえてくるといった怪奇現象が起こりました。そこで、川底を浚ったところ、一体の石像が出現したのです。
同時に、多くの人骨と歯牙、歯骨が出てきました。人骨は、両国の回向院に埋葬され、歯牙と歯骨は、石像とともにこの地に葬って供養することになりました。
 
石像は像高約55㎝、高さ70㎝ほどの台座の上に立っており、この台座の中に、歯牙と歯骨が納められているそうです。石像の姿は、外からは見えません。

しおみ300.pngお堂前のご由緒には、文化4年(1807)富岡八幡宮祭礼日に起こった永代橋の崩落事故、その後江戸を襲った大火災、大地震、疫病などにより、多数の犠牲者が出た旨が綴られています。

これらの災害などにより、犠牲になった人々の歯牙や歯骨が、この地点から出てきた理由は、隅田川の形状によるものかもしれません。
人々への鎮魂と祈りが込められた地蔵尊なのです。

石像を守るようにして、表に御鎮座するのは、昭和5年建立の像高95㎝、コンクリート製のお地蔵様です。こちらも、大変珍しい作だそうです。背面には、「汐見地蔵尊 三千三百三名無縁様 船松町守地蔵」と書かれています。船松町とは、現在の湊3丁目、汐見地蔵尊の所在地です。

ご由緒は、こう続きます。
「歯を病む者が祠前の塩を持ち帰り口中を漱げば痛みが治り、お礼に塩や楊枝を供する習わしで霊験すこぶるあらたかな地蔵尊として篤い信仰を集めています。」
汐見地蔵尊は、歯の神様、として広く信仰されているのです。

siomi01m.jpgまた、この辺りは、明暦の大火後に埋め立てられた湊町でした。江戸湊の中心地として、諸国からの物資がここに集まったという歴史をもっています。江戸名所図会などにも、多くの船が停泊する江戸湊の様子が描かれています。

siomi06m.JPG江戸湊を望む神様として、水運の安全も見守っていました。その証拠に、以前お地蔵様は、隅田川の方を向いて安置されていたそうです。
供養祭は、毎年6月6日前後です。
汐見地蔵尊は、町会の方々によって大切に守られています。
 

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汐見地蔵尊
東京都中央区湊3丁目18-22

※ 裏通りですが、交通量が多く、みなスピードを出しています。ご参拝の際は、くれぐれもご注意ください。

 


中央区観光特派員 湊っ子ちゃん
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第17号 平成30年6月10日