銀座6丁目に今年オープンしたばかりのハイアットセントリック銀座東京に伺いました。この場所はかつて明治21年から昭和2年までは朝日新聞社があり、明治40年からは主筆として夏目漱石が在籍し、明治42年からは校正員として石川啄木が務めていました。啄木の歌碑があるのは、みなさん良くご存知の通りです。
1階エントランスで迎えてくれるのは、50年前まで実際に印刷で使われていた活字を用いて作られた銀座の地図です。赤いところが、こちらの場所です。江戸時代の町割りを今にも継ぐ銀座の碁盤目状の様子が、立体感を持って感じられます。
3階、4階の吹き抜けの壁は、活字が現代アートになっています。
明治5年、政府の威信をかけて建築された煉瓦街ですが、一般店舗にはなかなか受け入れられず、交通の便と情報収集の良さに目をつけた新聞社が集まりました。一時期銀座は新聞社、印刷所などの関連会社が200社ほども集まる街となりました。
その時代の印刷は、金属に文字を彫り込み、活字を並べて文章にし印刷するもので、その手間と作業にどれだけの労力と時間を要したか、当時の凸版印刷をアートに仕上げた壁を見ながら想像してみます。
いたるところに文字アート作品があり、探す楽しみに遊び心がくすぐられ、このホテルが目指す「訪れた人々が、銀座の魅力を知り、感じ、そして体験する拠点となること」に引き込まれていくようです。
3階のダイニング&バーでは、新聞印刷スタート時の試し刷りで出る紙、廃棄する紙を壁紙にしています。
また、銀座ではなかなか珍しい外の風に吹かれながら、車や人通りと遮断されたひと時を過ごすことも出来ます。並木通りの対面のビルとの空間は、まさに江戸時代からの横丁7間の町割り空間。のんびりと今から過去へ、過去から今へ、そして未来へ。時の空想旅行にも耽れる銀座では貴重な打って付けの場所です。是非みなさんも、銀ブラの途中に、もちろん宿泊にご利用されてはいかがでしょうか。