宝田恵比寿神社を中心に、旧大伝馬町一帯(日本橋本町三丁目、大伝馬町)また堀留町にかけて「日本橋恵比寿講べったら市」が、毎年10月19日/20日に開催されています。既に終了してしまいましたが、友人が出店していましたので訪問し楽しい時間を過ごすことが出来ました。
"べったら漬け"は、麹と砂糖などの甘味料で大根を漬け込んでいるため、衣服にべったりとついてしまうことからきており、かつて若者が「べったりつくぞぉ~、べったりつくぞぉ~」と叫びながら縄に縛った大根を振り回し、参詣客の着物の袖につけてからかっていたという話です。ある意味、「婚活」ツールに利用してたということもあるかもしれませんね?
私はべったら市と呼ばれる前の名称「腐市(くされいち)」の話をしようと思います。
江戸末期に書かれた『守貞漫稿』27巻は、「10月19日の夜江戸大伝馬町腐市」から始まっています。中を読んでみますと、「又、新漬け大根を売る、所謂浅漬にて干大根を塩、糠を以って漬けたる、けだし糀を加えたるを良しとす。夜市等に之を売ること、唯この夜一夜(このよいひとよ)限れり」と記されています。特別製品には「麹(糀)」は入っていたのでしょうが、普及品には入っていなかったようですね。
「べったら市」は19日限りのはずが、どうして19/20日の2日間になったのでしょうか?
注: 守貞謾稿(もりさだまんこう、守貞漫稿とも)は、江戸時代後期の三都(江戸・京都・大阪)の風俗、事物を説明した書物。著者は喜田川守貞。1837年(天保8年)に書かれ始め、約30年間書き続けて全35巻(「前集」30巻、「後集」5巻)をなした。刊行はされず稿本のまま残されたが、明治になってから翻刻されたが、1600点にも及ぶ付図と詳細な解説によって、近世風俗史の基本文献とみなされています。